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「ユックリシテイッテネ!!!」 夕飯の買い物から途中、そんな声を上げる物体を見かけた。 普通のゆっくりによく似ているが、体が赤くて通常のゆっくりと比べると随分早口で甲高い声だ。 「ユックリシテイッテネユックリシテイッテネ!!!」 またとんでもない早口で喋ると、こちらに向かって飛んできた。ギリギリで避けられたが、物凄い速さだ。 「な、何だお前?く、食い物が欲しいのか?」 「ユックリチョウダイ!!!ユックリタベサセテネ!!!」 何だか気味が悪いので大根の葉を少しちぎって投げてみる。 普通のゆっくりなら地面に落ちた後で「食べていいの!?」などと喚きながら食べるだろう。 だが、こいつは地面に落ちるどころか手を離すとほぼ同時に飛び上がって食いついてきた。 何て意地汚い奴だ。目にも留まらぬとはこの事か。 何だかちょっと面白くなってきたので試しにキャベツを一枚剥がして投げてみる。 また飛び上がって食いつく。今度は流石に一口では食いきれないようだが、これまた尋常じゃない速さで食い尽くす。 「何なんだぁお前は?随分ゆっくりしてないゆっくりだが」 「レイムハレイムダヨ!!ツウジョウノサンバイユックリシテルサンバイレイムダヨ!!」 「早口で喋るのはやめてくれ聞き取りづらい。そうか三倍れいむか……そんなのもいるんだな」 「オジサンユックリデキルヒトダネ!!オウチニツレテイッテヨ!!」 「あ?やだよ。お前大食いっぽいんだもん」 「ダイジョウブダヨ!!レイムジブンデゴハントッテコレルヨ!!ツレテイッテヨ!!!」 「…ならいいが。言っておくが家の中を少しでも荒らしたりしたら潰して食うからな」 「ワカッタヨ!!ユックリシテイクヨ!!ユックリツレテイッテネ!!!」 「お前に言われると物凄く説得力が無いんだけどな。まあいいや付いて来い」 「ユックリー!ユックリシテイッテネー!!」 上機嫌そうに付いてくる三倍れいむ。自分でエサを取るなんて、珍しい事を言うゆっくりだな。 それに赤いし、早口だし、全然ゆっくりしてないし。時々普通に歩いてる俺を追い越して待ってる事まである。 「ハヤクハヤク!!ユックリカケアシシテネ!!!」 「無茶言うな。何だってお前はそんなにすばしっこいんだ」 とにかく変わったゆっくりだ。こいつを増やせば高く売れるかもしれんな…… そんな思惑と共に帰宅。 「そら着いた。ここが俺の家だ。言っておくが、お前の家じゃないぞ」 「ワカッテルヨ!!オジサンノオウチダヨ!!セマクテウスギタナクテクサイケドイイトコロダネ!!ユックリシテイクヨ!!!」 「死にたいか?」 「ゴベンダザイ!ヒログデギレエデイイニオイガジマズゥ!!ユッグリザゼデグダサイ!!」 まだ何もしてないのに泣き叫ぶ三倍。変わった奴だな本当に。 「まあいいがな。しかしお前なんだって俺の家に来たがったんだ?エサは自分で取るとか言うし、メリット無いだろ」 「サビシイノハイヤナンダヨ!!ダレカトユックリシタインダヨ!!!ユックリサセテネ!!!」 「寂しいってお前、友達とか居ないのか?」 「レイムトモダチイナイノ!!ミンナレイムノコトイヤガルノ!!オジサンモレイムキライナノ!!?」 「いや別に。まだ何もしてないからなお前は。……ふうん。お前変な奴だからなぁ。それで嫌われてんのか」 狼等の動物も怪我や病気等で他とは違うような奴は爪弾きにされるという。ゆっくりもそうだったのか。 「ま、どうでもいいや。さっきも言ったが、自分でエサを取って、家の中を荒らしたりしないなら家に置いてやる」 「ヤクソクスルヨ!!ゴハンハジブンデトッテコレルヨ!!オウチノナカモコワシタリシナイヨ!!オジサンアリガトウ!!ユックリシテイッテネ!!」 凄く嬉しそうにその場で跳ねまくる。あまりに素早いので表情がよく見えない。声もステレオで面白い。 さて、そうして三倍ゆっくりれいむとの奇妙な同居生活が始まった訳だが。 確かにエサは自分で取ってくるし、家の中でもなるべく大人しくしようとしている。 一ヶ月経ってもその様子に変化は無く、ゆっくりの割に約束事を守れる非常に珍しいゆっくりだ。 あまりに早口なので集中しないと言葉を聞き取れないのが難点だが、それは何度言っても直らなかった。 まあ、それが原因で他のゆっくりから迫害されたのだからもう矯正は無理なんだろうな。 下手に弄って普通のゆっくりと同じになられてもそれはそれで困るし。実害が出てしまう。 そういえば、試しに眠っている隙にこっそり千切って食ったら辛かった。味まで変わってるとは。 その後飛び起きて「ユックリアヤマッテネ!!ユックリアヤマッテネ!!」と泣き叫ぶ三倍を宥めるのに苦労した。 結局傷口を塞いで抱いて寝てやったらとても喜んでいた。普通のゆっくりと違って手間も少ないし、可愛いかもしれない。 そんなある日、そろそろ季節が変わろうかという頃。 普通のゆっくりれいむとゆっくりまりさのつがいが家の庭に這入り込んでいた。 「おじさんだあれ!?」 「ここはまりさたちがみつけたおうちだよ!!!ゆっくりでていって!!」 見つけたも何も、俺は始めから家の中に居たんだが。と、その声を聞きつけたのか三倍が猛スピードでやってきた。 「ユックリデテイッテネ!!!ココハレイムトオジサンノオウチダヨ!!!サキニミツケタノハオジサンダヨ!!」 「ゆっく!?へんなひとがいるよ!!」 「ぴょんぴょんはねてぜんぜんゆっくりできてない!!」 三倍を見てゲラゲラと笑い出した二匹。なるほどこんな感じで迫害されてたのか。 見れば三倍は跳ねるのをやめ、プルプルと震えている。物凄い勢いで。顔がブレて表情が見えん。 「ウルサイウルサイウルサイ!!!ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 「うるさいうるさい、だってさ」 「おお、こわいこわい」 そう言って再びゲラゲラ笑い出すゆっくり二匹。うーむ。やっぱり普通のゆっくりの方が腹立つな。 三倍なら何を言ってるのかいまいち聞き取りづらいし、動きも異様に速いから逆に笑えるんだが。 「ゆっくりできないひとたちはれいむたちのおうちからでていってね!!!」 「ゆっくりでていってね!!ゆっくりしんでね!!!」 一通り笑ってから飛び掛ってくるノーマルゆっくり二匹。手で弾こうと思った瞬間、二匹とも凄い勢いで横に飛んでいった。 「オジサンニナニスルノ!!ユックリデテイッテネ!!」 どうやら三倍が突き飛ばしたらしい。三倍どころかこいつらの十倍以上の速度はあったと思う。 突き飛ばされた二匹は何が起こったのか分からないような顔をしていた。 「ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 威嚇しつつ叫ぶ三倍を見て漸く自分達がこいつに突き飛ばされたのだと理解したのか、 顔を真っ赤にして焼いた餅の様に全身を膨らませて三倍に向かっていく。 だが、異常なまでのスピードで跳ね回る三倍には手も足も出ず、一方的に四方八方から突き飛ばされて転がるだけだった。 「ユックリシネ!ユックリシネ!!レイムヲユックリサセナイヒトハユックリシネ!!」 「や゛べでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「どう゛じでゆ゛っぐり゛ざぜでぐれ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 はいパターン入った。この台詞が出る頃には大抵戦意などどこかへ行ってしまっているのだ。 それでも攻撃の手を緩めない三倍。今日のように迫害された日々の記憶でも甦ったのだろうか。 「ユックリシネ!!ユックリシネ!!…ウメェ!!メガッサウメェ!!ハフハフ!!」 「ぎゅっ!!い゛だい゛!!や゛べで!れ゛い゛む゛をだべだい゛で!!」 「ま゛り゛ざはお゛い゛じぐだい゛よ゛!!れ゛い゛む゛だげだべでよ゛お゛お゛!!」 飛び跳ね、突き飛ばしながら少しずつ皮を食いちぎっていく三倍。見る見るうちに餡子が露出していく。 「びゅぐっ……ゆ゛っゆ゛っ……ゆ゛っぐ、り゛……じだい゛……」 「びくびくっ……ぼっど……ゆ゛っぐり゛……じだ……が……」 「ユックリウメェ!!タマンネェ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 完全に二匹とも動かなくなった後もぐるぐる周囲を回って餡子を食い続ける三倍。結局十分程度で二匹とも食い尽くしてしまった。 「お前、同類でも構わないで食っちまうゆっくりなんだな」 「アンナノナカマジャナイヨ!!ユックリサセテクレナイモン!!」 「ふうん。じゃあお前一人ぼっちなんじゃないのか?」 「ヒトリジャナイヨ!!レイムハヒトリジャナイヨ!!オジサンガイテクレルモン!!ユックリデキテルヨ!!」 ゆっくりの割に殊勝な所もある三倍ゆっくり。あのスピードにこの性格。 ひょっとしたら加工場に持っていけば対ゆっくり用ゆっくりとして高く売れるかも知れない。 それにはまずこいつの数を増やさないとな。可愛いくて忠実なだけじゃ生き残れないんだぜ三倍。 翌日、早速三倍ゆっくりを連れて加工場へ向かう。幸いこいつは加工場がどういう所か知らないらしく、散歩だと言えば喜んで着いてきた。 受付で事情を話すと、奥の部屋へ連れて行かれた。手に持っている三倍がウズウズしているのが分かる。 「中に入ったら大人しくしていろ」という言いつけを守ってくれるのは正直ありがたい。普通のゆっくりは絶対に聞かないからな。 「お待たせいたしました。それが三倍ゆっくりですか?」 部屋で少しの間待つと、この工場の偉い人が来た。何でも繁殖・飼育全般の責任者兼副工場長なのだとか。 「ええそうです。普通のゆっくりと違って赤いでしょう?それに早口で、動きも素早いです」 「ふぅむ…ちょっと部屋の中を走らせてもらっていいですか?」 「はい。おい三倍。この部屋の中を一周だけ走ってみろ。絶対に物を壊したりするなよ」 「ワカッタヨオジサン!!ユックリハシルヨ!!」 ゆっくり、と言いつつその速度は全然ゆっくりしてない。 いつもの超スピードで部屋を一周すると、凄い勢いで膝の上に戻ってくる。タマちゃんが痛い。 「ど、どうですか。こんなに速く動くゆっくりなんて珍しいでしょう」 「そうですねえ。ゆっくりフランの飛行速度よりも随分と速いようです。 番ゆっくり、でしたか。貴方の言う事もよく聞いてるようだし、確かにいけるかも知れないですね」 「そうですか。それでは繁殖の件は……」 「試してみる価値はありそうですね。ただ、失敗すればこの子が死ぬかも知れないですが本当によろしいのですね?」 「ええ、構いません。どうせ拾い物ですし」 「そうですか。それでは早速用意しましょう。着いて来て下さい」 「ユックリデキル!?ユックリデキルヨネオジサン!!」 「ああゆっくりさせてやるよ。だから安心しろ」 不安がってこちらを見て震える三倍。だからブレて表情が見えないってば。怖がってるのは分かるけどさ。 案内された部屋には、数匹の発情したゆっくりれいむが居た。 「ゆっくりれいむは受けになる事が多いですから。では三倍も発情させましょう」 ゆっくり業師とかいう人に三倍を手渡す。業師は慣れた手つきで三倍の体を撫で回し、揺すった。 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネェェ」 目がとろんとして動きが少しだけ緩慢になった三倍。ちゃんと表情を見れたのなんて久しぶりだ。 すかさず発情れいむが入っている檻に入れられる三倍。 自身と同じく発情した相手を見つけるやいなや猛スピードですり寄って行く。速すぎて気持ち悪い。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっくりいぃぃぃぃん!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリイッテネ!!ユックリイッテネ!!」 凄まじい勢いで発情れいむに擦り寄りまくる三倍。見る見るうちに発情れいむの息が荒くなっていく。 「ゆっく……ゆっくりいくよ!!ゆっくりいくよ!!ゆぅん……んほおおおおおおおおっ!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネ!!!!!」 例の雄叫びを上げ、ぶるりと大きく震えて動きを止める二匹。しばらくすると三倍の方は元気良く動き回る。 「スッキリー!!」 一方ノーマルれいむの頭からは赤い蔓が伸びている。やがて蔓には三倍と同じ赤い実がいくつも実り、目を覚まして騒ぎ出した。 「ユックイチテイッテネ!!!」「ユックリオハヨウ!!!」「オジサンタチユックイデキユヒト!!?」 「どうやら上手くいったようですね。貴方も三倍も、本当にありがとうございます」 「いえいえ、私は何も。では私はこれで。三倍、帰るぞ」 「ユックリシテイクヨ!!!レイムハココデユックリスルヨ!!!」 「何言ってるんだ。お前の家は……」 「レイムノアカチャンガイルモン!!レイムガソダテルヨ!!オジサンダケカエッテネ!!!」 「…せっかくだからこいつも引き取ってもらえますか?」 「ええ、喜んで。では後でお礼をお渡ししますので先程の部屋でお待ち下さい」 その後、わざわざ工場長までやって来て、普通のゆっくりよりも随分沢山の代金を受け取った。 せっかくなので赤ん坊の三倍を売って貰えないだろうか、と尋ねると無料で一匹貰えた。 これから番ゆっくりが商品化すれば、売り上げ次第でまた配当がもらえるらしい。ラッキーだ。 今はすやすやと高速で寝息を立てているちび三倍を持って家に帰ると、そこには普通のゆっくりが我が物顔で居座っていた。 早速餌が手に入ってありがたい事だ。 大金を貰って機嫌のいい俺は大声で呼びかける。 「おおいゆっくり達。美味しいお菓子があるからおいで!!」 「ゆっ!おかし!!おかし!!おじさんはやくたべさせてね!!」 「さっさとちょうだいね!!くれないならかえってね!!」 上機嫌な俺にそんな口撃は通用しない。さらばゆっくり。 足元に群がってきたゆっくりを一匹残らず踏み潰す。 「ゆ゛びゅぷっ!!」「ぐぇあ」「びゅぷるぷっ!!」「ぱっびっぶっぺっぽおっ!」「い゛だい゛よ゛ぶっぷ!!」 悲鳴でちび三倍が目を覚ます。体は小さいがスピードは成体と変わらないようで、素早く地面に飛び降りて残骸を食い始める。 「ハァハァ、ウッメ!!オジサンオイシイヨコレ!!オジサンモタベレバイイヨ!!ユックリタベヨウネ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 「俺はいらん。好きなだけ食べな」 こいつも普通のゆっくりとは性格が少し違うようだ。ちゃんと躾ければ番ゆっくりとして役に立つかもしれない。 YUKKURI THE RED COMET END 作:ミコスリ=ハン
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二匹のゆっくりが、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、あるいておりました。 「このやまはゆっくりできないね。ちょうちょもありさんも、ぜんぜんいないね。」 「はやくつかまえてゆっくりしたいね。ゆっくりしようね。」 それはだいぶの山奥でした。案内してきた専門の鴉天狗も、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。 「ゆっくり寒くなってきたね。」 「ゆぅ、ゆっくりもどろうね。」 ところがどうも困ったことは、どっちへ行けば戻れるのか、いっこうに見当がつかなくなっていました。 風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。 「お゙な゙がずい゙だよ゙ぉぉ。な゙に゙がだべだい゙よ゙ぉ。」 「れいむ、やまを下りたらお花をいっぱい食べようね。」 「あ゙る゙ぎだぐな゙い゙よ゙。何がだべだい゙よ゙ぉ。」 「ゆぅ、まりさも何か食べたいんだよ」 二匹のゆっくりは、ざわざわ鳴るすすきの中で、こんなことを云いました。 その時ふとうしろを見ますと、立派な一軒の西洋造りの家がありました。 そして玄関には RESTAURANT 西洋料理店 SLOWLY HOUSE 低速亭 という札がでていました。 「れいむ、おうちだよ」 「れいむたちが見つけたんだかられいむたちのおうちだよ」 「ゆ!いいにおいがするよ」 「たべもののにおいだよ、ゆっくりしようね!!!」 二匹は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なもんです。 そして硝子の開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。 「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」 二匹は字が読めないので中に入りました。 「あたたかいね、ゆっくりできるよ」 「うん、あたたかいね。もっと奥があるよ」 「いってみよう」 そこには扉が一つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、その下には長い柄のついたブラシが置いてあったのです。 扉には赤い字で、 「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」 と書いてありました。 「ゆ、れいむがむこうにもいるよ」 「それはカガミっていうんだよ。とかいはのゆっくりアリスがもってたよ」 二匹は字が読めないので、そのまま扉をがたんと開けて、次の室へ入って行きました。 早く何か暖いものでもたべて、元気をつけて置かないと、ゆっくりできなくなってしまうと、二匹とも思ったのでした。 扉の内側に、また変なことが書いてありました。 「鉄砲と弾丸をここへ置いてください。」 見るとすぐ横に黒い台がありました。 「ゆ、また扉があるよ」 「ゆっくり開けてね」 二匹は字が読めないので中に入ると、また黒い扉がありました。 「どうか帽子と外套と靴をおとり下さい。」 しかし二匹は字が読めないので気にせず中に入りました。 扉の裏側には、 「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金物類、 ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」 と書いてあり。扉のすぐ横には黒塗りの立派な金庫も、ちゃんと口を開けて置いてありました。鍵まで添えてあったのです。が。 二匹は気づかずにそのまま飛び跳ねていきました。 「おっきなおうちだね」 「これだけおっきいといっぱいゆっくりできるね」 すこし行きますとまた扉があって、その前に硝子の壺(つぼ)が一つありました。扉にはこう書いてありました。 「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」 みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。 「うっめ、これめっちゃうっめ」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 それから大急ぎで扉をあけますと、その裏側には、 「クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか、」 と書いてあって、ちいさなクリームの壺がここにも置いてありました。 「ゆー、おいしくてゆっくりできるね!!!」 「きっと、おくにはもっとゆっくりできるものがあるよ!!!」 するとすぐその前に次の戸がありました。 「料理はもうすぐできます。 十五分とお待たせはいたしません。 すぐたべられます。 早くあなたの頭に瓶の中の香水をよく振りかけてください。」 そして戸の前には金ピカの香水の瓶が置いてありました。 二人はその香水を、頭へぱちゃぱちゃ振りかけました。 ところがその香水は、どうも酢のような匂いがするのでした。 「すっぺ、これめっちゃすっぺ」 「すっぱいけどおいしい!!ふしぎ!!」 二人は扉をあけて中にはいりました。 扉の裏側には、大きな字で斯う書いてありました。 「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。 もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさん よくもみ込んでください。」 なるほど立派な青い瀬戸の塩壺は置いてありましたが。 「おしおはたべれないね」 「のどがかわいてゆっくりできなくなるね」 奥の方にはまだ一枚扉があって、大きなかぎ穴が二つつき、銀いろのホークとナイフの形が切りだしてあって、 「いや、わざわざご苦労です。大へん結構にできました。さあさあおなかにおはいりください。」 と書いてありました。おまけにかぎ穴からはきょろきょろ二つの青い眼玉がこっちをのぞいています。 二人は扉をあけて中にはいりました。 ばたん ゆっくりたちの入ってきた扉が勢いよく閉まり、ゆっくりたちが何をしても開きません。 ゆっくりたちの目の前に、胸の平らなメイド服の女の人が立っていました。 「おねえさん、ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ゆっくりできないならでていってね!!!」 女の人はゆっくりたちを掴むと、さらに奥の部屋へと進んでいきました 「「いたいよ!!やめてよ!!ゆっくり放してね!!!」」 女の人は部屋の中にゆっくりを投げ入れると、外から鍵を閉めました。 「いたいよ!!ゆっくりやめてね!!」 「まりさ、ここはゆっくりできそうだよ!!」 部屋にはふかふかなベッドを始め、高級そうな調度品が並んでいました。 二匹はベッドに飛び乗り、ポンポン飛び跳ねます。 「ゆっくりできるね♪おねえさんはゆっくりおいしいものをもってきてね♪」 「ここがまりさたちの新しいおうちだよ♪ゆっくりしていってね♪」 「うっう~♪」 _,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_-''" `> !!!!!!!!!!!!! <ヽ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ :__ _____ ______ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、:_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7´ .. .、ン、: rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/≧- -─==', i :r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! Σiヾ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | :!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' i (◯), 、(◯) | .|、i .|| :`! !/レi' (◯), 、(◯)Σ'i !て ,rェェェ、 ". 「 !ノ i | :,' ノ !'" ,rェェェ、 "' i .レ',.く |,r-r-| . L」 ノ| | : ( ,ハ |,r-r-| 人! :||ヽ、 `ニニ´ . ,イ| ||イ| / :,.ヘ,)、 )>,、_`ニニ´_,.イΣハ ル` ー--─ ´ルレ レ´: このSSに感想を付ける
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長い間手入れを怠っていたため、畑はすっかり雑草で覆われていた。 倉庫から背負い式の散布機を取り出し、除草剤を散布する。 ひとしきり散布を終えたところへ、草の中から小さな影が飛び出した。 「ゆっゆっゆっ!!なんだかむずむずするよ!」 影の正体は、紅白のゆっくりだった。 農薬によって泡を吹いて朽ちている個体はよく見かけたが、生きているものは珍しかった。 爆発的な繁殖力を持つゆっくりは田畑を群れで襲撃することが多い。 時には花壇さえ食い散らかしていくのだから、害虫より余程たちが悪い。 「おじさんたすけて!むずむずするよ!」 「これじゃゆっくりできないよ!」 散々、人の畑に入り浸っておきながらゆっくりしたいとは図々しい奴だ。 良い機会なので直々に懲らしめることにする。 「どれ、おじさんが診てあげよう。口を開けてごらん」 そう言いながら、散布機のエンジンをかけ直す。 「あ~~ん、ゆぐっ!?ぐぃ!?ぐぃぃぃ!!」 大きな口を開けたゆっくりの中に、むずむずの原因をたっぷり吹き付けてやる。 じたばたと暴れるゆっくりを押さえ付け、最後の一滴まで注ぎ込んでやった。 「さあ、おくすりを飲ませてあげたからもう大丈夫だよ」 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……?」 弱い除草剤では農薬ほどの毒性がないのは分かっているが むずむずするらしいので何か面白い効き目はあるに違いない。 「ゆっ!?あたまがもっとむずむずするよ!?」 ゆっくりに変化が現れ始めた。 じたばたと飛び跳ねる毎に、はらり、はらりと「頭髪」が抜け落ちていく。 「なにかおちてきたよ!」 自分の髪が抜けていることにも気付かないのか、ゆっくりは地面に落ちた髪を見て不思議そうな顔をする。 しばらくして、ついに赤い髪飾りが黒い尾を引いてぼとりと落ちた。 もはやゆっくりの頭部は色白の表皮が光沢を放つのみとなっていた。 「すっきりー!さっぱりー!」 「そうかい、それはよかったよ。気を付けてお帰り」 「おじさんいいひと!ゆっくりかえるよ!」 すっかり元気になったゆっくりは仲間の所へ帰って行った。 予想外に奇妙で興味深い結果が得られて満足したため、食後の農薬は勘弁してやった。 …… … 禿ゆっくりが森の木々の間を飛び跳ねながら進む。 妙に軽くなった体を嬉しく思いつつ、いつもの調子で大きな声で叫ぶ。 「ゆっくりかえったよ!」 するとどこに隠れていたのだろうか、たちまち10体の紅白や白黒のゆっくり達が現れ、声の主を探し始める。 「まりさー!こっちにいるよ!!」 しかし禿ゆっくりがいくら叫んでも、他のゆっくり達は戸惑うばかりだった。 「おーい!みあたらないよ!」 「れいむー!どこにいるの!」 禿ゆっくりには事態が飲み込めるはずもなかった。 「ゆっ!?れ、れいむだよ?!ここだよ!ゆっくりしようよ!」 「なんだこれ!へんなまんじゅう!」 「ほんとだ!おいしそう!」 髪を失ったゆっくりは――同属の目から見ても饅頭でしかなかった。 「ゆ、ゆっ!?ひどいよ!どうして!」 たちまち他のゆっくりの目の色が変わる。 「おーなかすいた♪」 「おーなかへった♪」 「たーべちゃーうぞー♪」 禿ゆっくりを包囲するように10体のゆっくり達が詰め寄って来た。 「ゆっ!?みんなやめてね!たべものじゃないよ!?」 どんなに叫んでも禿ゆっくりの声は届かなかった。 白黒のゆっくりが木の上からジャンプし、禿ゆっくりの真上に落ちる。 ブチュリ。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛ーー!!?」 「ゆっくり しね!!」 下敷きになった禿ゆっくりから勢いよく飛び出した餡子が地面にぶち撒けられる。 「みんなでたべようね!」 「あまあま♪」「うまうま♪」 薄れていく意識の中で、禿ゆっくりはかつて仲間と一緒に食べたまんじゅうの味を思い出した。 しかし、まんじゅうの形だけはどうしても思い出すことが出来なかった。
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森から山から大量のゆっくり達をトラックに積める。 「おじさん!!どこにいくの!?」 「ここはくらいよ!!あくるくしてよ!!」 「まりさたちをゆっくりだしてね!!!」 トラックからはゆっくりたちの声が耐えない。 本当、近所迷惑この上無い。 俺はゆっくりを無視しトラックを走らせた。 「お、来たか」 暫くしてゆっくりを乗せたトラックは馬鹿でかい、しかし人通りは無いホテルに到着した。 「随分と早かったじゃないか。3時間も前だぞ?」 その男は随分と驚いていたようだ。 「ええ、準備の時間等を考えるとこのくらいが良いかと・・・悪いことをしたでしょうか・・・」 「いやむしろ好都合だよ。礼としてとっておきたまえ」 俺は封筒を渡される。中には随分と入っているようだ。 「あの・・・申し訳ありませんが、これはお返しします」 「何?」 「その代わり、私もこのイベント、ご一緒してもいいでしょうか?」 男はくすりと笑い、 「構わんよ。しかしその服装ではなんだ、ちゃんとした服を用意してあげるから来なさい、ゆっくり達は部下に運ばせよう」 「あ・・・ありがとうございます!」 俺はトラックから自分の荷物を下ろすと男についていった。 「遅くなりました、着慣れない服だったので・・・」 「ん、大丈夫だ、まだ開催まで時間はある。ゆっくりしていくといい」 見ると舞台の準備は既に終わっているようだ。周りの席にはいかにも富豪な御方がワイン片手に悠々としている。 「しかし・・・いいんですか。俺みたいなのが特等席だなんて・・・」 男はふふっと笑い、 「いや、君みたいなのだからこそ、だ。君はこの方々とはきっと話が合わないだろう、私なりの配慮だ」 「はぁ・・・ありがとうございます」 男なりの配慮。 確かに富豪の人と俺の生活はかけ離れているだろうし、会話の内容もかみ合わないに決まってる。 俺は素直に男の配慮が嬉しかった。 「よし、ではそろそろ始めようか・・・」 そう言うと男は立ち上がり、マイクを手に取る。 「えー皆様、本日は貴重な時間を割いて本会場へ御来場いただき、誠にありがとうございます。」 周りの人々は軽く会釈する。どうやらこの男、相当上の立場の人間のようだ。その後も暫く男の挨拶は続く。 「では、これよりゆっくり競馬を始めます」 その宣言を合図に俺の下の階、1階ホールの上に設けられた大きい台の上にゆっくりが投下されていく。 「ゆゆ!!?やっとあかるくなったよ!!!」 「ゆ!!!?おじさん、おばさんたちだぁれ?ゆっくりできる?」 「ここひろーい!!ここをれいむたちのおうちにしようよ!!」 「そうするー!ここならゆっくりできるね!!」 一気に会場が騒がしくなる。俺は顔をしかめるが、他の人は平然としている。前々から行っているためもう平気なのだろうか。 「えー、まずは聞けゆっくり達。お前達には今から少しお遊びをしてもらう。」 男がそう言うとゆっくり達は更にさわがしくなる。 「ゆ!?いまからあそぶの?」 「ゆっくりあそぼうね!!」 男は騒々しいゆっくりたちの声を軽く流して説明に入った。 「いいかよく聞けゆっくり達よ。今からお前達に向こうの台まで渡ってもらう。奥のゴールまで辿り着けば美味しいお菓子をやろう」 ゆっくり達の前には板があった。板といってもそれなりの強度はあるようだが。 「ゆゆぅ!!?おかし!まりさおかしたべたい!」 「れいむたちもたべたい!おじさんゆっくりたべさせてね!」 「ゅー♪」 ゆっくり達はお菓子という単語を聞いた途端全員が満面の笑みでこちらを見てきた。 目の前にある恐怖を知りもせずに。 「ほう、元気なゆっくり達だな。この板は1匹ずつしか渡れないくらいしか幅が無い。慎重にいくことだな。」 「「おかしおかしー♪」」 中の二匹は威勢よく橋を渡っていく。 「ゆ!?ずるいよ!おかしをひとりじめしようとしてもだめだからね!!」 それに伴い4,5匹も橋を渡る。 更にそれに伴って全てのゆっくりが橋をわたりそうだが、その前に事は起こった。 「ゅ”っ!!?」 先頭のゆっくりまりさが板から転落する。 「ゆぅっ!!?まりさ・・・!?」 その板から下までは20m。人間が落ちても打ち所が悪ければ重傷を負う可能性もある高さだ。 当然、饅頭であるゆっくりが落ちた先に待っている運命は――― ベチョッ 「まりざぁああぁああ!!!」 潰れるしかない。人間のように「打ち所が良ければ助かる」なんてことはない。ゆっくりは全てが急所なのだ。 そして潰れたまりさを見て他のゆっくりも泣き喚く。 「まりざあぁぁああ”あ”あ”!!!しんぢゃいやあぁあああ!!」 「なんでおぢだのぉおおぉおおぉぉぉ!!!!」 しかしその中の一匹が違う言葉で泣き喚いた。 「あんな”ふう”になりだぐない!!ここからもどるよ!!!!」 板に乗ってしまっていたゆっくりだった。一度渡った板からさっきまでいた所に戻ると言い出したのだ。 「ゆゆっ!!そうだね!おちなきゃいいんだもんね!!!!」 他の板を渡ったゆっくりも賛同して引き返そうとする。 しかし、ゆっくりは人間のように二本足があるわけではない。 ゆっくりの方向転換は最低でも自分の体のもう一つ分くらいのスペースが横に無いと成し得ない。 それを考えずに方向転換しようとしたゆっくりは、 「ゅっ!!!」 落下。 1匹を残して板を渡った他のゆっくりは、全て落下してしまった。 「どおじでもどれn」 「どおじでおぢd」 悲鳴は途中でかき消される。全て言う前に落ちて潰れてしまった。 「うひゃー、すごいですねこれ。やっぱりゆっくりって馬鹿ですね」 俺はこれほど愉快なことは無かった。 前々からゆっくりは気に入らない所があったし。 「なぁに、こんなのは序の口。これから更に面白くなるさ。」 板に残ったのは1匹だけ。その1匹は地に着いたまま方向転換するのではなく、一回飛んで半回転するという技を成し得た。 「ゆ!!これでゆっくりもどれるね!!」 なかなか頭がいいのかもしれん。このゆっくり。 そしてそのゆっくりはゆっくりと元いた場所へと戻った。 「おじさん!!!そんなところでみてないでさっさとたすけてね!」」 「そーだそーだ!おうちかえる!!」 「はやくおかしちょうだいね!!!」 台に残ったゆっくりたちはさまざまな文句を浴びせてくる。 しかし男は笑っている。嘲笑という笑いを。 「おいおい・・・、何故渡らない?後ろの恐怖に気が付かないのか・・・?」 「ゆっ・・・?」 「おい、カーテンを開けろ」 男がそう言うと係員の黒服がゆっくりたちの後ろにあるカーテンを開く。 そこには柵で遮られたゆっくりゃの大群が涎を垂らして待っていた。 「うー♪たーべちゃーうぞー♪」 「うびゃあぁあぁあああぁぁあ!!!おがああぁああざぁあああん!!!」 「その柵が開くのは今から25分後!あちら側に辿り着けばお前らをゆっくりゃから隔離してやる。渡り着いた者はお菓子を食べられる。渡らない者はゆっくりゃに食べられる。」 そして最後に男は力強く言い放つ。 「放たれよっ・・・・・・・・・!勇ましいゆっくりたちの道・・・・・・・・・!Brave men roadへ・・・・!」 男の一言はほとんど届かなかった。 ほとんどのゆっくりは泣き喚いていて話を聞くどころではなかった。 一部「ざわ・・・ざわ・・・」などと意味の分からない言葉を放つゆっくりもいたが。 「いやぁあああ!!わたりたくない!!でもたべられだぐないぃいいいぃいい!!!!」 「それは無理だ。お前らに残された運命は渡って食べるか、渡って落ちるか、渡らず食べられるか、この3択しかない。」 「ならわだるぅ!!だべられだぐなぃいいぃい!!」 「いや"あ”ぁ”ぁ”あ”あ”!!!!!!」 ほとんどのゆっくりは泣く泣く板を渡っていく。 勿論そこからこぼれて落ちてしまったりバランスを崩して落ちてしまうゆっくりが少しずつ出てきた。 俺達側の人間はそれを肴にしワインを飲んでいた。 しかし、台の上に4匹ゆっくりが残っていた。 「おじさん」 その中の一匹が男に冷静な口調で話しかけてきた。 「・・・なんだ」 「このおあそび・・・そこのいたをのぼれとはいってないよね」 その発言に他の3匹も頷く。 何を言い出すんだ、このゆっくりたちは。 「・・・ああ。向こうの台まで辿り着きさえすればOKだ。問題ない」 ああっ・・・!!! なるほど、確かにそうだ・・・!!! さっきの説明でも男は『そこにある板を渡れ』とは言っていない・・・っ!!! そのゆっくりに負けた感じがして俺は猛烈に腹が立った。 しかし、周りに向こうまでたどり着けるような足場は無いように思えた。 しかし、その4匹はとんでもない足場を渡っていった・・・!!! ざわ・・・ざわざわ・・・ざわぁ・・・ざわ・・・ざわ・・・ 次回、『襲撃』・・・・・・・・・っ!!! _____________________________________________________ あとがき なんかもう色々とごめん お詫びのワンシーン 「おじさんたちとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!!!」 「おお、こわいこわい。しかし人間様に逆らうゆっくりには仕置きが必要だ・・・」 「ゆっ!!?なにするの!?ゆっくりはなしてね!」 「ふふふ・・・ゆっくりよ、これを見るがいい」 「これなぁに!!?とってもあつそうだよ!!さっさとれいむをはなしてね!!!」 「はなしてやるとも、そぉい」 「ゆ”っ!!?あついあつい!!ごごぢがうよ”ぉおぉおぉお!!!」 「さぁそこに顔をつけろ!!!そしてごめんなさいと10回言え!!!そうすれば助けてやる!!」 「ぎゅうぅううぅううぅぅぅうう!!!・・・!!!???--っ!!っー!!!!」 「まぁつけたらつけたで顔が焼け付いちゃって何も言えなくなるけどね」 さーせん このSSに感想を付ける
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昨今の幻想郷では、ゆっくりが餡子の材料、ペット、ストレス解消など様々な利用方法をされている。 そして大工の場でもゆっくりが使われていた。 家を建てる際に草木を撤去し、凸凹とした土地を平らに均す必要がある。 その時にゆっくりを使うわけだ。 まず平らにしたい土地を柵で囲っい、れみりゃ除けに網をかけてその中にゆっくりを何匹か放り込む。 逃げられないようにするためと、無必要な部分まで整地されないようにするためである。 ちなみに中にいれるのはゆっくり霊夢、それも母ゆっくりだけだ。 まりさ種を入れると何かと理由をつけてさぼったり、それが原因でゆっくり同士喧嘩しだすのでNG。 ありす種を入れると他種のゆっくりが犯されて殺されるのでNG。 ちぇん種は仕事に対して集中できないうえ目を離すと遊びだすのでNG。 みょん種などは話が通じるか分かり辛いのでNG。 そんなわけで割と素直で真面目なれいむ種が使用されるわけである。 今日もまた新たなれいむ家族が箱に詰められて現場へと連れてこられた。 箱の中からはゆっくり家族達の声が聞こえる。 「ゆっくり出してね!」 「おかーしゃん、ゆっくりできないよ!」「くらいよ!」「せまいよ!」「こわいよー!」 「うるさいなぁ。ほら着いたぞ」 大工の一人が箱を開けて中を確認する。 母ゆっくり一匹。子ゆっくり二匹に赤ちゃんゆっくり二匹。 その中から母ゆっくりだけを取り出して柵の中へと置いた。 「ゆ! ひろいよ!」 柵の中は今まで閉じ込められていた箱に比べればずっと広い。 母ゆっくりは清々しい表情をする。 「わたちたちもゆっくりだちてね!」「だしてだして!!」 子供たちの声を聞いて子供たちを思い出したのか、母ゆっくりは大工へ向かって抗議する。 「れいむのこどもたちもゆっくり出してあげてね!!」 「だめだ。お前が仕事を終わるまでこいつらは預かっておく」 「ゆ"!? なんでそんなこというの!? ゆっくりだしてね!!」 「聞けよ。仕事が終わったら放してやるって言ってんだろ」 「おじさん、なにいってるの? なかなの?? はやくこどもをだしてね!!!」 「あー、めんどうな奴らだな」 こんなやり取りを今までに何度もしてきたので大工はうんざりだという顔をする。 「仕事の説明はあそこにいる他のやつらに聞け。仕事が全部終わったら子供に会わせてやる」 同じ柵の中、向こう側で寝ているゆっくりの群れを指で示してそれだけ言うと大工は背を向けて去って行った。 「ゆっくりまってね!! こどもたちをかえしてね!!」 しかし大工は聞かず、そのまま自分の小屋へと帰った。 今晩の食事はちょうど手に入った4つの饅頭だ。 そうして残された母ゆっくりはしばらくの間、すでにいない大工や子供たちに話しかけたり、 柵に向かって体当たりしていたがどれも適わなかった。 その音に目を覚ました他の母ゆっくり達四匹が集まってきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「ゆ? ゆっくりしていってね!」 他の母ゆっくり達の挨拶に母ゆっくりも挨拶を返す。 「れいむもこどもたちをもってかれたの?」 「ゆ! そうだよ! ゆっくりしないでたすけなきゃ!!」 母ゆっくりは再び柵に向かって体当たりしようとする。 「ゆっくりもんだいないよ!」 「しごとがんばればかえしてもらえるよ!!」 と、他の母ゆっくり達は言う。 「それが本当かどうかわからないよ!!」 「だいじょうぶだよ! さいしょにいたゆっくりはこどもたちかえしてもらってたよ!!」 「ゅ! しあわせそうにおそとへいってたよ!!」 それは他のゆっくりに、がんばれば子供を返してもらえると示すための大工によるヤラセのようなものだ。 ちなみにその子供を返してもらったゆっくりは他の現場へと連れていかれたが、残るゆっくり達は知る由もない。 ただ、仕事を頑張れば子供と一緒にゆっくり出来ると信じていた。 「じゃあだいじょうぶだね! しごとってなにをするの!?」 他の母ゆっくり達の言葉に安心した母ゆっくりはようやく仕事する気になったようだ。 「ゆっくりせつめいするね!!」 「しごとはここのじめんをぺったんこにするだけだよ!! たべものはここにあるくさだよ!!」 「でもくさをいっぱいたべないでね! これいがいはないからね!!」 「ゆっくりわかったよ! みんなでゆっくりがんばろうね!!」 さすがは母ゆっくり、今の説明で理解できたようだ。 母ゆっくりの群れなので食事の量の管理も問題ないだろう。 それから母ゆっくり5匹のお仕事が始まった。 昼間は小石を柵の隅へと退かしたり、口や大きな体を使って地面を平らにしていく。 また、食事と整地も兼ねて草を食べていく。 疲れたらそれぞれ自由に休んでいた。 暗くなるとゆっくりタイムだ。 といってもこの辺りは明かりになる物もないのでみんなで擦り寄って眠るだけだが。 子供たちのことが心配ではあったが、仕事が終わればまた家族でゆっくり出来る。 それに共にがんばった他のゆっくり達の家族とも一緒に遊ぼう。 最初ここに連れてこられた時は不安でしょうがなかったが、甘い未来を想像するとゆっくり出来た。 それから一週間経ったころ、大工は様子を見にきた。 最初は凸凹で草木もたくさん生えていたこの土地はしっかり整地されていた。 草一本生えず平らになっていた。 「いい感じだな。よくやったなお前たち」 「ゆっくりがんばったよ!!」 「ゆうしゅうでごめんねー」 「ゆー♪ゆー♪」 自分たちのがんばった仕事を褒められてゆっくり達は嬉しそうだ。 仕事の最後の方は食べるものも少なくなって辛かったが、労いの言葉にゆっくり達の言葉は満たされた。 「がんばったのだからご褒美をあげないとな」 「ゆ! おぼえてるよ!! はやくこどもにあわせてね!!」 「あとおなかへったからごはんもってきてね!!」 「こどもたちはゆっくりしてる? ゆっくりあいたいよ!!」 「ごほうびごほうび!! こどもとたべものちょーだいね!!!」 「こどもたちといっぱいたべたいよ!!」 ご褒美と聞くと5匹の母ゆっくり達は口を揃えて望みを言う。 「じゃあ、そこまで連れていくからこの箱に入れ」 大工はそう言うと、持ってきた5つの木箱をゆっくり達のいる地面へ置く。 「はこ? はこはいやだよ!」 「せまいからゆっくりできないよ!!」 「お前たち疲れてるじゃないか。だから箱に入れて運んでやるんだよ」 「じゃあもっと広いはこにしてよね!!」 「まっててあげるからゆっくりよういしてね!!!」 「嫌だよ阿呆饅頭。とにかく箱に入らないなら食事無しで子供にも会わせないからな」 図々しいゆっくり達もさすがに食事と子供を盾にされると贅沢言わなくなり、自分から箱へと収まった。 「ゆっくりはこんでいってね!!!」 リヤカーにゆっくりの入った木箱を5つ積むと、大工はリヤカーを引いていく。 何も見えずにただ揺らされるゆっくり達は不平不満を垂らす。 「ゆっくりできないよ! いつつくの!?」 「おそとがみたいよ!」 「ゆれがはげしいよ! ゆっくりはこんでね!!」 しかし大工にとってそれは雑音にすぎない。 無視してリヤカーを引いていく。 そして数時間後、ゆっくり達入った木箱の蓋が外されて地面へと降ろされる。 「ゆっくりできるよ!」 「ひろいよ! くさがいっぱいあるよ!!」 「ゆ? こどもたちは? どこにいるの!?」 「ゆっくりしないで会わせてね!!」 「今度はここで仕事だ。前と同じだからがんばれよ」 「ゆ”! どういうこと!! やくそくがちがうよ!!」 「ゆっくり達のしごとはもうおわったんだよ!!」 「仕事はあそこだけなんて言ってないだろう?」 「い、いやだよ!! もうしごとしないよ!!」 「そうだよ!! はやくしょくじとこどもをもってきてね!!」 「そしたらしごとすることかんがえてもいいよ!!」 「食事ならそこにいっぱい生えてるじゃないか」 大工の指差した先には確かに草木が茂っていた。前の土地よりも多いかも知れない。 「あまいのがいいよ!」 「おかしもってきてね!」 「あとこどももね!!」 「こどもは仕事が全部終わったらって約束だろ? じゃあ後はがんばれよ」 ゆっくりとの無駄な問答に付き合ってられないと大工は去って行った。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! まっでえぇぇぇぇぇ!!!」 「せめて! ひとめだけでもみせてね!!」 「ゆっくりまたないとおしごとしないからね!!!」 最後のゆっくりの言葉に反応して大工は振り返る。 「一か月後に仕事ができなかったら子供は食べるからな? しっかり仕事しとけよ?」 今度こそ大工は去っていった。 後に残されたのは柵に囲まれた広大な土地と5匹のゆっくり達だけだった。 今度の仕事場は大豪邸でも建てるのか前に比べてずっと広い。 5匹のゆっくり達は誰も何も言わず呆然と佇んでいた。 一ヶ月後に見事に仕事をやり遂げた5匹のゆっくり達はご褒美をもらえた。 苦しむことの無いよう鉈で一刀両断。これがご褒美だ。 きっと子供たちに会えるはずだ。仕事を始めた日には死んでいた子供に。 きっとあの世でね。 終 by ゆっくりしたい人 主にゆっくりれいむ家族を虐めたいだけ。虐待というか人質とって強制労働というべきか。 ある種グッドエンドっぽいけどあの世で子供に会えるか決めるのはえーき様。 このSSに感想を付ける
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注意 自分設定があります。 赤ゆっくりがでてきます。 すっきりできないまま、終わるかもしれません。 「「「ゆっきゅりちていってね!」」」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ここはとあるゆっくりの群れ。 たった今、生まれたばかりのゆっくりが目をキラキラを輝かせながら親たちに向かって、お決まりの挨拶をする。 親たちもまた、お決まりの挨拶を返し、その後は頬を擦り合わせて親愛の情を示すのだ。 平凡かもしれないが、とてもゆっくりした親子たちであった。 子供たちは初めて見る『おそと』に興味津々であった。 あるもの全てがとても綺麗なものとして感じられる。 木々の緑、風の流れ、太陽の暖かな光、どれもこれも当たり前のものだが、全て素晴らしいものとして感じている。 この時の感情をゆっくり風に言い表すならば、『とってもゆっくりしている』であろう。 大人になってからでは目を向けないものだが、生まれたてのゆっくりだからこそ分かるのだ。 やがて子供たちは自分を生んでくれた親の元へと集まり、家族であることを確認する。 彼らはとても、とてもゆっくりしていた。 「へぇ、いっぱいゆっくりがいるなぁ」 「ゆっ!?」 人間の、どこか呑気そうな声が聞こえてきた。 ゆっくりは慌てて周囲を確認する。ゆっくりにとって、人間とは『ゆっくりできないもの』として分類されているからだ。 すぐさま、一匹のゆっくりが茂みから顔だけ覗かせている人間を見つける。 それは若い男であった。大きなリュックを背負って、物珍しそうにゆっくりたちを眺めている。 いきなり襲って来ないことに安堵したのか、ゆっくりたちはその場に留まって人間を威嚇する。 「ゆうぅぅぅ! にんげんさんはあっちにいってね! ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!」 ぷくぅ、とゆっくりれいむは頬を膨らませて、身体を大きく見せる。 この動作は他の動物に対しても威嚇の効果はあまり持たないが、ゆっくり的には真剣である。 本気で相手を驚かせられると思っているのだ。 勿論、人間相手ではまったく威嚇の効果は見込めないが。 「いやいや、ごめんごめん。ゆっくりできないことはしないから、安心してくれよ」 笑顔のまま、男は両手を挙げて敵意の無いことを示す。 それでも、ゆっくりたちの威嚇の構えが解けないので、背中のリュックからあるものを取り出した。 「それじゃ、お近づきのしるしということで、これをあげるね」 それは山の中で採っていたキノコであった。 ここで、ゆっくりに人間の食べ物を渡すほど、男は知識不足なわけでもない。 人間の食べ物に舌が慣れてしまったら、大抵はろくなことにならないからだ。 「ゆゆゆ!? きのこさんだね! みんなはちょっとまってね!」 集団の中心ゆっくりと思しきゆっくりれいむが、まずは毒見をしてみる。先ほどの頬を膨らませたゆっくりれいむである。 むーしゃむーしゃ、と食べてみても、おいしいだけで毒はないようだ。 「きのこさん、おいしいよ! もっとちょうだいね!」 「はい、どうぞ」 ゆっくりにも食べやすいように、ある程度ばらばらにして地面にばらまく。 親ゆっくりたちはわっ、とそのキノコに群がって食べ始める。 出産直後であったために、とてもお腹が空いていたのだ。 「うめぇ! まじうめぇ!」「まじぱねぇ!」 「むーしゃ、むーしゃ! しあわせー!」 凄まじい勢いでキノコを食べていくゆっくりたち。その様子を男は笑顔で眺めている。 一方、子供のゆっくりらはまだキノコのような固形物を食べることはできないため、食べ終わるまで待たされている。 子供であるため、食べ物という概念を完全には理解できていないが、おいしそうであることはなんとなく分かる。 いいなー、というような視線で親達を眺めている。 男はそれを不憫に思ったのか、そちらへと話しかけた。 「君たちは可愛い赤ゆっくりだね。お持ち帰りをしたいくらいだよ!」 突然、人間に話しかけられた子供たちは「ゆゆ!?」と驚いて親たちの背中に隠れる 親れいむの方もぶくーっと膨らんで、再度の威嚇行動を取る。 「れいむのかわいいあかちゃんをもっていかないでね! ぷんぷん!」 「おかーしゃーん、がんばれー!」 「本当に持って行くつもりはないよ? そのぐらい、赤ゆっくりが可愛いってことさ!」 男の言葉に少しは気を許したのか、親れいむはぷひゅるる~、と頬から空気を抜く。 勿論、それにつけこんだ催促も忘れない。 「ゆっ! いくられいむのあかちゃんにめろめろになったからって、へんなこといわないでね! あと、きのこさんをもっとちょうだいね!」 随分と偉そうではあるが、親れいむは他の者を相手にする時、『下手に出たら負け』と思っている。 常に堂々としていることで、相手を圧倒しようというわけだ。これは同じゆっくり相手には通じる場合もある方法である。 場合によっては野生動物にも効くかもしれない。声に驚くこともあるからだ。 勿論、人間にはまったく効果はないが、男には人語を解してる、と感じられてむしろ好意的にすら思っていた。 男は普通の『良い人』であり、極端な嗜好の持ち主ではない。 ゆっくりによってもたらされた被害に眉をひそめることはあっても、潰そうとは思わない性格であった。 はいはい、と頷くと、男は再びきのこをばらまく。 ゆっくりたちもこの人間は敵ではない、と判断したのか、きのこを食べながら思い思いにゆっくりし始めた。 しばらくの間、男は触れるでもなく、ただひたすらに子供のゆっくりを眺めているだけであった 「いや、ホントに可愛いな~赤ゆっくりは」 ニコニコと満面の笑みを浮かべながら、何度目かになるその台詞を言う。 そこで、ようやくゆっくりたちは疑問を持った。 「ゆ? あかゆっくりってなに? れいむのあかちゃんはれいむだよ!」 親れいむがややこしいことを言う。 ちなみに、ゆっくりに個体名というのは存在しない。あるのは『れいむ』や『まりさ』などといった種族名のみである。 それでは相手のことを呼び合えずに不便に思われるかもしれないが、ゆっくりは飾りによって相手を識別している。 どんなに美しいとされるゆっくりでも飾りがなければ、ゆっくりできないゆっくりと思われる。 家族であっても、飾りのないゆっくりは排斥しようとするのだ。 飾りは取れやすい、という欠点はあるが、相手を識別するのに最も必要なものである。 加えて、ゆっくりは親しい相手のことは微妙なニュアンスで呼び分けてもいるらしい。 余談ではあるが、人間がそれぞれ違う名前を持っている、というのはゆっくりにはよく理解できないことなのだ。 だから、人間を『にんげんさん』や『おにいさん』などといって一括りにしようとする。 もしかすると、人間には飾りがないのでゆっくりしていないと思っている可能性もある。 飾りがないゆっくりとは、人間で言えば名前のない人間と例えれば、少しは理解できるかもしれない。 「ああ、赤ゆっくりっていうのはね、赤ちゃんのゆっくりのことだよ。 可愛い赤ちゃんの赤を取って、赤ゆっくり」 男は親れいむを見ながら、丁寧に説明する。 その説明に親れいむも納得の表情を浮かべて頷く。 「ゆ! あかちゃんのことだったんだね! そうだよ! れいむのあかちゃんはかわいいもんね!」 元々、大きかった声をさらに張り上げて親れいむは胸、もとい顎を張る。 男は頬を綻ばせながら、ゆっくりの様子を見ている。 「皆が『れいむ』じゃ、ちょっと呼びにくいもんね。赤ちゃんのことぐらいはそう呼んでみたいんだよ」 男は人間なので、ゆっくりの区別は大きさの大小などでしか区別ができないため、一つそんな提案をしてみる。 親れいむはというと、その提案に乗り気であった。 「ゆゆゆ! おにいさん、あたまいいね! ゆっくりよんでいいよ!」 男は褒められはしたが、流石に苦笑いで返す。 しかし、許可は出たので思う存分、呼ぶこととした。 「それじゃ、赤ゆっくり可愛いな~。ウチでも飼いたいなぁ。でもなぁ……」 わずかに陰鬱な表情になりながらも、触れずに愛でる男。 猫好きなのに猫アレルギー持ちのような可愛がり方である。 親れいむはそんな男の様子を見ていて、なんとなくうずうずし始めていた。 先ほどから男の言葉が気になって仕方ないのだ。 赤ゆっくり。赤ちゃんを指し示す言葉である上に、ゆっくりという言葉が入っていれば気にならないわけがない。 つまるところ、自分も言ってみたいのだ。 「ゆっ、ゆっ! おにいさんだけにはあかちゃんをまかせておけないよ! れいむもよぶよ!」 すぐに我慢の限界が訪れ、よく分からない論理を展開しながらも親れいむが自分の子供に近寄る。 「ゆ~♪ れいむのあかゆっくり~♪ とってもかわいいんだよ~♪」 「「「ゆ~」」」 赤ちゃんゆっくりとは親れいむなりのアレンジだろうか。 子守唄のようなものを歌いながら、己の子供を頬ずりをする親れいむ。 頬ずりをされている赤ゆっくりはなんだか妙な表情をしている。親が重いのかもしれない。 そして、周囲にいたゆっくりもその光景を見て、ゆっくりしたくなってきた。 「ゆっ、ゆっ! まりさのあかゆっくりもゆっくりするよ!」 「あかゆっくりちゃんって、とってもとかいてきなかんじね!」 「ゆ! あかちゃんゆっくりかわいいな~♪」 などと、自分の子供とゆっくりし始めた。 各々がゆっくりしている状況を見て、男はゆっくりしているのを邪魔していけない、と感じた。 人間がゆっくりと関わっても、ゆっくり側に良いことはあまり起きないからだ。 そういう意味で男は少し関わりすぎた。 「それじゃ、僕はここで失礼するよ。後は皆でゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 こうして、男とゆっくりたちは別れた。 できればもう一度会いたいな、などと考えながら、男は家路に着いたのであった。 男と出会ってから一週間程が過ぎた。 その間、親れいむたちは酷い目に会うこともなく、毎日を過ごしていた。 食べ物がちょっと少なかったり、木にぶつかったりなど、些細な不幸はある。 しかし、それを補って余りあるほど自分の赤ゆっくりは可愛いし、皆と一緒にいられるのもとても幸せである。 みんなゆっくりしている、はずであった。 なんだかあかちゃんゆっくりのようすがへんだ、と何となく親れいむは思っていた。 言葉ではうまく説明できないが、妙な違和感を親れいむは持っていた。 赤れいむに元気がないわけではない。むしろ、普通に甘えてきたりもする。 呼べば返事もちゃんとする。多少の偏食はあっても、さして重要視すべきことでもない。 だが、何か変だった。 「ゆ~? よくわからないよ? でも、ゆっくりできないからいいや!」 親れいむは考えることを放棄した。元来、ゆっくりとは考えることを常とするモノではない。 刹那的に日々を過ごしていく奇怪な動く饅頭である。 ともあれ、親れいむは先ほどまでの考えをすっかり忘れて、我が子に頬ずりをする。 「す~り、す~り♪ れいむのあかゆっくり、ゆっくりしていってね~♪」 「ゆっきゅり~♪」 赤ゆっくりもそれに応じて、頬ずりをする。とても仲が良い関係であった。 さらに幾日か過ぎた。 何度かの不幸はあったが、親れいむたちはゆっくりしている。 しかし、なんとなく違和感が残ったままであった。 「「ゆっくりしていってね!」」 仲間同士で言い合う中でも、何か釈然としないものがあった。 誰もがなんとはなしに分かっているはずなのに、分からない。 そんな状態が長く続き、親たちはどこかゆっくりできなかった。 そんな中でも赤ゆっくりたちはいつもどおりにゆっくりしていたが。 ある日、親れいむは仲の良いゆっくりまりさに思い切って相談してみることにした。 自分の考えすぎかもしれないが、ずっと心の底からゆっくりできていないのだ。 これではストレスが溜まって仕方ない。 親れいむは親まりさを人気ならぬゆっくり気のない場所に呼び出して、問いかけた 「ゆぅ……まりさはゆっくりできてる?」 「ゆっくり、できてるよ! どうしてそんなこときくの?」 「ゆっ……!」 まりさの言葉の間、『ゆっくり』の部分にわずかな躊躇いがあることを親れいむは見逃さなかった。 もしかするとまりさもゆっくりできていないのではないか、と親れいむは感じたのだ。 「まりさ、ほんとうにゆっくりできてる?」 「ゆ……ゆっくりできてるよ?」 「ほんとうに?」 「ゆ、ゆぅ……」 親れいむに何度も問いかけられることによって、まりさも徐々にゆっくりできなくなっていく。 心の中にあったわずかな疑念が段々と大きくなっていくのが分かる。 「……まりさも、すこしゆっくりできてないよ……」 注意して見れば、まりさの身体は葉っぱなどによってできた擦り傷がいくつかある。 親れいむにもあるが、自分の赤ゆっくりのために食べ物を取って来る時にできた傷である。 子育てとは大変なものである。 だが、ゆっくりできない問題とはまさしくそこにあった。 「まりさのあかゆっくりが、へんなんだよ……」 まりさが沈痛な面持ちで語りだす。 そこには隠し切れない苛立ちも含まれていた。 「もうずっと、ごはんをあげてるのにぜんぜんゆっくりしてないんだよ…… まりさががんばってるのに、ぜんぜんてつだってくれないし、もっと、ちゃんとしてほしいよ……」 まりさが愚痴を言うように呟き続ける。 親れいむにはまりさの辛い気持ちはよく伝わったが、何が起こっているのかはよく分かっていなかった。 出した結論は、 「やっぱり、まりさもゆっくりできてないんだね!」 だった。原因は未だ不明だが、その推測は当たっていた。 そして、このゆっくりできない状態は群れ全体へと波及していくのであった。 さらに数日。そこで繰り広げられている光景は酷いものであった。 「ゆっくりできないあかゆっくりは、どっかいってね!」 「「まま~! どおぢでそんにゃこどいうの~!?」」 「こんなあかゆっくりちゃんはとかいはじゃないわ!」 「「ときゃいはってな~に?」」 「あかちゃんゆっくりなんて、もういらないよ!」 「「おかーしゃーん!?」」 親であったはずのゆっくりたちが己の子を罵っている姿がそこにはあった。 その中には、あの親れいむの姿もある。 「どおして、れいむのあかゆっくりはおおきくならないのぉぉぉおお!?」 「「「おか~しゃん、おこらないでね!? おこらないでね!?」」」 親から受ける圧力に、赤ゆっくりはとてもゆっくりできていなかった。 どうして親たちが怒っているのかも理解できない。 しかし、言われも無い迫害を受けているとは言いがたい状態でもあった。 親れいむの言葉は真実である。 赤ゆっくりたちは男と会った時と比べても、ほとんど成長していないのだ。 いや、全く成長していないと言い切ってしまってもいいかもしれない。 「ほんとうに、れいむのあかゆっくりはじゃまだよ! ゆっくりできないよ!」 「「「どうちてしょんなこというのぉぉぉぉぉ!!??」」」 親れいむは可愛がっていたことも忘れて、赤ゆっくりを罵る。 赤ゆっくりが生まれてから、ずっと食べ物を与え続けているにも関わらず、まったく大きくならない。 それが、親れいむには不気味に映り、またゆっくりできないように思えたのだ。 赤ゆっくりは赤ん坊であるために食べ物を自力で食べられず、親が噛み砕いたものなどを食べる。 一般に言われている限りでは数週間もあれば、赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長する。 子ゆっくりともなれば、親が噛み砕いたものを食べる必要はなく、それなりに固形物を食べられるようにもなる。 また、身体にも弾力性が出てきて、赤ゆっくりと比べてはるかに死ににくくなる。 赤ゆっくりを育てるというのは神経を使うものなのだ。 それが一向に成長しないともなれば、余計にイラつくのも無理はない。 「もうへんなあかゆっくりなんてそだてないよ! さっさときえてね!」 「「「おか~しゃ~~ん!!!」」」 親れいむの最後通牒によって、親子間に決定的な溝ができた。 かえってきて、と泣く子を無視して、れいむは自分の食べ物を探しに行く。 見れば、周囲の親ゆっくりたちも一様に我が子を見捨てて、思い思いに行動し始めている。 「ゆ~♪ これでようやくゆっくりできるよ! ゆ~♪ ゆ~♪」 れいむは意気揚々と跳ねていく。 その頭の中は己の願望で一杯であった。 「まずはあたらしいおうちをみつけないとね! れいむのかわいいかわいいあかゆっくりがいっぱいほしいよ! ちゃんとおおきくなるあかゆっくりがほしいね!」 この家族は何か特別なゆっくりではなかった。そこらに存在している一般的なゆっくりでしかない。 それは群れのゆっくりも同じである。では、何故今回のようなことが起こったのか。 それは、『あかゆっくり』という言葉によるものであった。 群れの子供たちは己の名前ではなく、明らかに『あかゆっくり』などと呼ばれることが多かった。 本来、ゆっくりは人間が気づき得ない微妙なニュアンスの差異で他の個体を呼び分けている。 それによって、己の自我を確立し、他の個体とはわずかに違った精神構造を持つ。 それが『あかゆっくり』と一括りにされることで乱れてしまったのだ。 最初に自我を確立させるべき相手から、名前を呼ばれないことで奇妙な変化が起こっていた。 子供たちは自分のことを『あかゆっくり』であると思い込み、そうであろうとする意思が働いていた。 『あかゆっくり』であるから、大きくならない 『あかゆっくり』であるから、固形物を食べられない。 『あかゆっくり』であるから、身体が柔らかい。 『あかゆっくり』であるから、うまく喋れない。 『あかゆっくり』であるから、ものが良く分からない。 『あかゆっくり』であるから、『あかゆっくり』でなくてはいけないのだ。 つまり、『あかゆっくり』と呼ばれ続けることで精神と身体が赤ゆっくりの状態で固定されているのだ。 餡子の遺伝によって、親が思う『あかゆっくりとはこうあるべき』という形が子にまで伝わっていたのだ。 この状態は自分の子供を『あかゆっくり』と呼び続ける限り、変わらないのだろう けれども、れいむたちは今後もそう呼び続ける。 「れいむのあかゆっくり」と括ることで、通常よりも「この子供は自分のモノである」と印象付けることが可能だからだ。 何に印象付けるのか。勿論、自分と周囲に対してである。 いわば、自分が如何にゆっくりしているのかを証明するアイテムが『あかゆっくり』となっているのだ。 恐らく、ゆっくりたちは何故自分たちが子供のことを『あかゆっくり』と呼びたいのかは理解してはいないだろう。 そう呼んだらゆっくりできる気がする、そんな程度の理由しか思っていないのかもしれない。 ゆっくりたちは、どの個体も皆ゆっくりしていたい。 自分がどれくらいゆっくりできているかの指標として、『あかゆっくり』が必要とされたのだ。 『自分はこんなにもゆっくりしているものを持っている。だから、自分はとてもゆっくりしているのだ』 要約すれば、こういう理屈になるはずであった。 しかし、現実に赤ゆっくりは生きている。 れいむはその弱々しい個体を生かし続けるのが苦痛となったために捨ててしまったのだ。 赤ゆっくりがいる家族は、見た目とは裏腹にゆっくりできることが少ないからだ。 れいむはこれからもさらなるゆっくりを得るために、『あかゆっくり』を産んでは捨てていくのだろう。 多分、死ぬまで。 「ゆっくりしていってね! れいむのあかゆっくり!」 「ゆっきゅりしていってね!」 書いた人 ゆっくりまんじゅうの人
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「強制ゆっくり」 「君達は、こんなところで何をしているのかな?」 帰り道、畑の端っこで野菜を貪り食っているゆっくりを見下ろして問う。 むーしゃむーしゃ♪と美味しそうに食べていた野菜を放ると、17匹のゆっくりは一斉に僕を見上げた。 「ゆ!?ゆっくりしてるんだよ!!」 「おにーさんはゆっくりできるひと?できないならどっかいってね!!」 「ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!!」 成体のまりさとありす。それに、15匹の子ゆっくり。 周りには、野菜の食べかすと思われるものが無造作にばら撒かれている。 「そうかそうか、でもここは野菜を作ってるおじさんの畑だから、勝手に食べたらダメだよ」 別に、自分の畑ではないのだが…一応人としてそこらへんは注意しておこうと思った。 もちろん、無駄だということは分かっている。 「なにいってるの?やさいはかってにできるんだよ!!おにーさんばかなの!?」 「ここはさいしょにありすたちがみつけたんだから!!とかいはのゆっくりプレイスだよ!!ゆっくりりかいしてね!」 僕に対して反論するのは親であるまりさとありすだけで、他の子ゆっくりたちはまったく意に介さずゆっくりしている。 実際ゆっくりに『ばかなの!?』とか言われて、僕の怒りが有頂天にならないわけがないのだが… これから起こるであろう惨劇を思えば、その怒りも絶妙なスパイスとなる。 「仮にそうだとしても、畑のおじさんはそうは思ってない。 君達が正しいとしても、おじさんは怒って君達を殺したり食べたりすると思うよ」 「ゆ!!ばかなおじさんだね!!まりさたちにかなうわけがないのに!!」 「とかいはのありすにかてるわけないのにね!!これだからイナカもののおじさんはイヤなのよ!!」 「まりしゃたちもゆっくちやっちゅけるよ!!」「ありしゅもやっちゅけるよ!!」 無駄に好戦的なゆっくり一家である。今まで人間に負けた…酷い目にあわされた経験がないのだろうか。 まぁ、僕もゆっくりに負けた経験はないので、これから僕とゆっくり…どちらかが新しい経験をするのだろうな。 おそらく新しい経験をするのは、このゆっくり一家の方になると思うが。 「そんなおじさんと戦うのも疲れるだろ?お兄さんと別の場所でゆっくりしない?」 「ゆ?ここよりゆっくりできる?」「そこはとかいはのこーでねーとなの?」 「もちろん、とてもゆっくりできるよ。と言うより…そこでは“ゆっくり”以外できないんだ」 穏やかな笑顔で、奥に潜んだ悪意を包み隠す。そんなことしなくても、ゆっくり一家は気づかないと思うが。 「ゆ?よくわかんないよ!!でも、ゆっくりできるならところならつれていってね!!」 「はやくあんないしてね!!のろまなイナカものはきらいだよ!!」 「つれちぇって!!つれちぇって!!」「ありしゅもいきたい!!」 あっさり釣れたので、僕はゆっくりと自分の家へ案内した。 僕の家の前。 すでに、ゆっくり一家は僕の家へ飛び込もうとスタンバイしている。 念のため、僕はもう一度“ルール”を説明することにした。 「これからゆっくりする君達に言っておきたいことがある」 「ゆ?そんなのどーでもいいからね!!はやくゆっくりさせてね!!」 「今から言うことを守らないとゆっくりできなくなる…それでもいいのかな?」 「ゆ…ゆっくりきくよ!ゆっくりせつめいしてね!!」 “ゆっくりできなくなる”とか適当に言っておけば、大抵のゆっくりはおとなしくこちらの話を聞く。 僕はゆっくりと説明を始めた。 「この中に入ったら、君達はずっとゆっくりし続けることになる。ゆっくり以外のことは全て禁止だ。 もしゆっくり以外のことをしたら、お兄さんが二度とゆっくり出来なくさせてあげるからね」 もし今の言葉に危機感を感じたとしたら、そいつはかなり賢いゆっくりだ。 大抵のゆっくりは… 「まりさたちはいつもゆっくりしてるからだいじょうぶだよ!!」 「とかいはのありすたちが、ゆっくりしないなんてありえないよ!!」 「ゆっくちするよ!!」「ゆっくりしゅるよ!!」「じぇんじぇんだいじょうぶだよ!!」 こんな風に、自分の“ゆっくりスキル”に揺ぎ無い自信を持っている。 自分はゆっくり以外のことを絶対にしない、と思っている。 だからこそ僕も、じゃあこちらも全力でゆっくりさせてあげよう、という気になるのだ。 「そうか、そうだよね。君達はゆっくりできるゆっくりだから、全然問題ないよね!」 「そうだよ!!まりさたちはゆっくりできるものだよ!!だからはやくゆっくりさせてね!!」 僕が家の扉を開けると、17匹のゆっくり一家は我先に中へ入っていった。 ゆっくりを案内した部屋は、何の変哲もないただの六畳間である。 普通と違う点と言ったら…床に新聞紙を隙間なく貼り付けてあることくらいだろうだ。 これは、事が終わった後に片付けやすいように、との配慮である。 「ゆー!!ここならひろくてゆっくりできるね!!」 「とかいはのこーでねーととしてはまだまだだけど、しかたないからここでゆっくりしてあげるね!!」 「おにーさん!!ゆっくりごはんをもってきてね!!そしたらゆっくりさせてあげるよ!!」 「ここをまりさたちのおうちにするよ!!おにーさんおしえてくれてありがとう!!」 おお、さっそく“自分の家”宣言ですか。人間様を完全にナメているな。 「どういたしまして。それじゃ始めようか。 お兄さんが合図をしたら、絶対に“ゆっくり”以外のことを“したり”“言ったり”するのはダメだよ」 「おにーさんあたまわるいね!!まりさたちがゆっくりしないわけないでしょ!!」 「イナカものはものわかりがわるくてこまるね!!とかいはのありすたちをみならってね!!」 子ゆっくりたちがすでにゆっくりし始めているその傍で、まりさとありすは大きく跳ねながら僕を怒鳴りつける。 うん、かなり頭にきた。でもこんな風に威張る事が出来るのも今日が最後なのだから、思う存分やらせておこうと思った。 僕はゆっくり一家に笑顔を振りまきながら、大きく手を振り上げた。 「よし、じゃあ始めるぞ。よーいスタート!!」 「ゆっくりぃ~!!」 ゆっくり一家17匹の、ゆっくり耐久レースが始まった。 「じゃあおにーしゃん!!さっそくごはんもっちぇきてね!!ゆっくりごはんたべたいよ!!」 「はいアウト!!」 最初の脱落者は、子まりさだった。予想はしていたが、早すぎる。 僕はその子まりさを持ち上げると、頭をがっしり掴んで少しずつ力をこめていく。 「おにーさん!!あかちゃんをはなしてあげてね!!」「それじゃゆっくりできないよ!!」 「は?お前らバカなの?“ゆっくり”以外のことを言うな、って言ったのにさぁ… どうして“ごはんもってきて”って言葉が出てくるの?お兄さんの説明聞いてた?」 「ゆがあぎゃああぁぁぁぁぁあ!!!いだいいだいいだいいだい!!どうじでごんぎゃごどずるぼおおおお!!?」 「どうして?…“ゆっくり”以外の言葉を喋ったでしょ?そんな子は、ここでゆっくりする資格はないよ!ゆっくり死ね!!」 「びぎゅあああああああぁぁっぁおえごえg!!??」 一気に力をこめると、子まりさはあっさりと粉砕され…帽子だけがそこに残った。 指の隙間から、餡子がぼたぼたと新聞紙の上に零れ落ちる。甘い匂いとかすかな湯気が、一家の恐怖を煽った。 「ゆぎゃあぁぁぁぁぁあゆっぐぢでぎないいいいぃぃぃ!!!おうぢがえるううううぅぅぅ!!!」 「ひどいごどずるおにーざんはここでゆっぐりじててね゛!!まりしゃはおうぢにがえるよ゛!!!」 「はい君達もアウト!!」 玄関から逃げ出そうとした子ありすと子まりさを、華麗な手さばきで捕まえる。 「君達バカだね!“ゆっくり”以外のことをするなって言ったのに、どうして逃げようとするの?」 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!ご、ごめんなざい!!わざどじゃないでしゅう!!」 「ゆっきゅりさせてね!!もうにげないからゆっくりしゃしぇbんろ!!??」 問答無用だ。僕は両手に掴んだ子ゆっくりを左右から思いっきり正面衝突させる。 顔面と顔面からぶつかった子ゆっくり2匹は、盛大に餡子をばら撒きながら即死した。 「さて、君達はもうわかったよね!!ゆっくりしない子は、こうなっちゃうんだどぉ~♪うっう~うあうあ~♪」 新聞紙の上に散らばった餡子とカスタードクリームを指差しながら、僕はれみりゃダンスを披露した。 「ゆ…ゆっくりぃ~!!」「ゆ、ゆっ…ゆっぐりぃ……!!」 お、すごい、本当に“ゆっくり”しか言わなくなった。 「そうそう、ここは“ゆっくり”するための部屋だからね!!ゆっくりしない子は邪魔だからゆっくりできなくするよ!!」 生き残っているのは、親であるまりさとありす。 そして、子まりさ5匹の子ありす7匹の合計14匹だ。 通常、ゆっくりというのは長時間ゆっくりさせないと死んでしまうらしい。 では…強制的にゆっくりさせるとどうなるのだろう? いくらゆっくりと言ったって、年がら年中24時間ゆっくりしているわけではないだろう。 そこを、人間の手で強制的に長期間ゆっくりさせる…結果どうなるのか、僕は自分の目で見てみたい。 「は~いおまたせー♪美味しい美味しいご飯だよ!!」 「ゆ…ゆっくりぃ~!!」「ゆっくりゆっくりぃ~!!」 原則的に“ゆっくり”以外の行為は禁じているが、食事と睡眠はゆっくりするために必要なものとして例外とした。 そんなわけで、僕は一家のための食事を用意して部屋の中に入る。 嬉しそうな顔をして、14匹のゆっくり一家が集まってきた。家族を3匹も失ったというのに、切り替えの早い奴らだ。 美味しいご飯と言っても、庭の雑草を抜いて洗っただけのものだが。 「ゆっくりぃ~♪」「ゆっくりゆっきゅりー!!」 そんないい加減なものでも、ゆっくり一家は美味しそうに食べている。野生の一家だから、何でも食うのだろう。 雑草があまりにも美味しかったのか、一匹の子ありすがこんなことを口走った。 「ゆっきゅりぃゆっきゅりぃ~♪しあわせ~♪」 …周りのゆっくりたちが、一斉に静まり返った。 「はいアウト!」 「ゆ?ゆゆぅ!!ゆっくりゆっくりぃ!!!」 首を振って否定してくるが、ちゃんと見てるんだぞ、お兄さんは。 「お前は今、“しあわせ~♪”と言ったな。ゆっくりしない子は…ゆっくり出来なくするって言ったよね…」 「ゆぎゅ!!ゆるぢでね!!ありしゅこんどからちゃんとゆっくりするからね!!」 子ありすの訴えに耳を傾けることなく、僕は輪ゴムを取り出して子ありすの頭に二重に巻いていく。 強い力で頭を締め付けられた子ありすは、今までにない悲鳴を上げた。 「びっぎゃああああぇrlがlrlが!!あだまいだいいだいいだいいいrlがじぇrgじあp!!!!」 「ゆぅ~ゆっくりゆっくりぃ!!」「ゆっぐりぃ……!!」 うん、いい悲鳴だ。 周りのゆっくりたちも何か言いたそうにしているが、ゆっくりとしか言わないので無視する。 僕は輪ゴムを三重、四重、とどんどんきつく巻いていく。 そして…だいたい同じ動作を十回繰り返した頃… 「いぎゃぎゃぎゃあだだだぢあいあいいああいああいおえrgじゃえびゅえっ!!??」 おでこから上が綺麗にちぎれて、ぽろっと落ちてしまった。泡を吹きながらびくびくと痙攣している子ありす。 それを見守るゆっくり一家は、もう何も言わずに涙を流しながら見ているだけだ。 当然である。何か粗相をすれば、今度は自分が同じ目にあうのだから… 「あばばばばば…ぴぎゃっ!!」「ゆううううううぅぅぅ!!!ゆっぐりい゛い゛い゛ぃぃぃぃぃ!!!」 手に持ってるのも気持ち悪いので、子ありすを床に叩きつける。 新聞紙の上には、カスタードが放射状に飛び散った。 「うーん、君達は偉いね!ここは“ゆっくり”するための部屋だ、ってのがよく分かってる!」 「ゆぅ…ゆっぐりぃ…!!」「ゆっぎゅりいいぃぃ…!」 “ゆっくり”以外の言葉を発することの出来ない一家は、その目で僕に訴えかけてくる。 きっと僕のことを思い切り罵りたいに違いない。僕に体当たりしたいに違いない。 でもそれはできない。それをした瞬間、“ゆっくり”以外の行為をしたとして…先立った子供たちと同じ運命を辿ることになる。 こいつらはそれが分かっているから、どんなに僕が憎くてもその感情を発散させることは出来ずにいるのだ。 「せっかくだから、ありすたちをゆっくりさせてあげるよ!!」 そう言って、僕は子ありすを一匹持ち上げた。さっきまでの僕の行動を思い出してか、ぶるぶる震えている。 「そんなに怖がらなくていいよ。ゆっくりさせてあげるからね!」 「ゆぅ?…ゆっきゅり♪」 何故か分からないが、子ありすの恐怖は吹き飛んだらしい。 僕は右手で子ありすに小刻みな振動を与える。 「ゆゆゆゆゆゆ…ゆっくりぃ…ゆっくりぃ~!」 すると…まだ赤ちゃんであるにも拘らず、子ありすはしっかり発情した。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!!!ゆっくりぃーーーーー!!!!」 涙とか涎とかいろいろ撒き散らしながら、一番近くの子まりさに圧し掛かる。 子まりさの方はすっかり豹変してしまった子ありすを恐れて逃げようとするが、発情子ありすに力で敵うわけがない。 あっさりねじ伏せられて、強制的に振動させられる。 「ゆぶぶ!!ゆっぐり!!ゆっぐりぃ!!!ごどもうびだぐないいいぃぃぃぃ!!!」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!!!まいしゃかわいい゛!!いやがるどころもずでぎいいいぃぃぃ!!!! ありしゅのがわいいごどもをうんでえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえ゛え゛え゛ぇぇ!!!!!」 子供のクセに、なかなかのテクニシャンだ。早くも2匹は絶頂に達しつつある。 「んほおおおぉぉぉお゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!!!イ゛ッグう゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅうぅぅ!!!! ありしゅのあいを!!!うげどめでええぇぇぇぇぇえ゛ぇぇぇぇぇえ゛え゛ぇぇ!!!!」 「おっと危ない!はいアウト!!」 「う゛う゛ぅぅぅぅ…ゆ?おにーしゃんどーして!!!ありしゅをすっきりさせてね!!!」 性的絶頂の手前でお預けを食らった子ありすは、真剣な顔で僕に抗議する。 まだ興奮が収まっていないのか、その小さな身体は小刻みに震えている。 「どうして?今理由を聞いた?お前バカなの?“ゆっくり”以外するなって言ったのに、どうしてすっきりしようとするの? もうお兄さんの説明忘れちゃったの?バカなの?アホなの?死ぬの?」 「ゆ…ゆっぐりぃ!!ゆっぎりゆっぎゅりぃ!!!!」 今になってルールを思い出したのか、必死に今までの愚行を無かった事にしようとしている。 それでなんとかなると本気で思ってるところが、僕にはまったく理解できない。 「…そんなにすっきりしたいなら、すっきりさせてやってもいい。でも、その瞬間お兄さんはルールを破った君を殺す」 「ゆぶっ!!ゆゆ…ゆっぐり!!ゆっぐりぃ!!」 「だってそうでしょ?ルールを破るのはゆっくり出来ない子だもん。そんな子はここにいなくていい。殺しちゃえばいいよね! …それでもいいのなら、すっきりさせてやる。すっきりした瞬間、死ぬ。それでもいいのなら」 お預けを食らった子ありすにとって、すっきりすることと生きることは同等の価値を持っている。 すっきりして死ぬか、すっきりしないで生き続けるか… 「ゆ゛!ゆっぐり!!」 子ありすは、気丈にも頭を横に振った。 「そうかそうか、すっきりしないのか!!ありすは偉いな~!」 と言いながら、僕は再度子ありすに小刻みな振動を与えて発情を促す。 すっきりしたい!でもすっきりしたら殺される。だからすっきりしたくない!!なのにすっきりしたい! 性的興奮が収まればそんな苦しみもなくなるのだろうが…僕が繰り返し発情を促しているので、それも叶わない。 子ありすは、“すっきり”と命のどちらをとるか… 「おにーじゃんやめでええぇぇぇ!!!ずっぎりじだぐないいいぃぃぃ!!!」 「そうだろう?すっきりしたくないんだろう?お兄さんはそんなありすを褒めてあげてるんだよ!偉い偉い!!」 と頭を撫でるフリをして、もっと振動を加える。子ありすの目の色がだんだんヤバくなってきた。 粘液を周囲にばら撒きながら、子ありすは必死に快感に耐えている。 変わり果てた子ありすの様子を見て、他のゆっくりはもう言葉を発する余裕もないようだ。 「いびゃあぁぁぁぁああぁぁぁああ!!!イ゛ギだぐないいいぃぃぃぃぃ!!!じにだぐない゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 「死にたくない?なら話は簡単。すっきりしなければいいだけでしょ?何も難しいことはないよね!!」 と言いつつ、もっともっと振動を加える。もともとこいつを生かしておくつもりはない。 だって、最初の段階でこいつはもうルールを破っているのだから… 「いびゃああぁぁあぁぁあイッグウ゛ウ゛ゥゥゥゥゥウ゛ウ゛ゥゥ!!!アッバッバアァァァアァァアァァ!!!!」 「あれ?すっきりするの?死んじゃうけど…いいの?」 「うぎゃああぁぁぁあっぁあlrlgぁllrぁぁぁあ!!!……ずっぎり゛ー!!!」 その言葉を発する子ありすの顔は、まったくすっきりしていなかった。 すっきりの先に待っているのは、死だから… 「ありすはすっきりするためなら死をも恐れない!!勇敢なゆっくりだね~(笑)お兄さん感動したよ!!」 「いやあぁぁぁあぁぁぁぁごろざないえいjがぶぎっ!?!?!」 いろいろ後始末のことも考えて、床の上に普通に叩き付けた。 拡散したカスタードが残された一家の顔に飛び散る。 「ゆううううううううう、ゆっくりぃ……」 「ゆ……ゆっきゅりぃ…」「ゆっくり……ゆっくりぃ…」 一家はもうすっかり元気を失い、ゆっくりする以外何も出来なくなっていた… それから。 僕は一家をゆっくりさせ続けた。 ご飯を味わえば何を言うか分からない。眠れば寝言で何を言うか分からない。 恐怖に駆られた一家は、本当に“ゆっくり”だけをするようになった。 ご飯はただ貪り食うだけ。熟睡する事ができないので、常に寝不足。 交尾をしたくなっても、すっきりすれば殺される。ゆっくりすること以外の欲求をすべて封じられた形だ。 だから…ただ、その場に留まり、無意味に壁を見つめているだけ。 ゆっくりしていなければならない。ゆっくりしないと殺される。 何故なら、ここは“ゆっくり”するための部屋だから。 ゆっくりしない子は、二度とゆっくりできなくなる。そういう部屋だから。 だから、ゆっくりしつづける。 ゆっくり以外は、何もしない。何も出来ない。 ただ、ゆっくりする。何もないところで、ゆっくりする。 ゆっくりすることを考え、『ゆっくり』と言い、『ゆっくり』という声を聞き、ゆっくりとしたものを見て、ゆっくりし続ける。 それがゆっくりの本来の姿。ゆっくりしないゆっくりはただの饅頭だ。そんなゆっくりに存在価値はない。 そう教え続けて一ヵ月後、一家はたった3匹になっていた。 残ったのは親まりさと親ありす、そして子ありすであった。 「外に出たいの?いいよ!これからは外で自由にゆっくりしてね!!」 僕の仕事はもう9割は終えた。あとは、野外でこの一家がどういう行動に出るか…だ。 「いやあぁぁぁぁあぁぁありすはゆっぐりじだぐないいいぃぃぃぃすっぎりもいやあぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!!!」 「ごっぢにごないでね!!まりさはゆっくりしたくないよ゛!!」 「ありしゅゆっくりしないからね!!みんなはむこうでゆっくりすればいいよ!!」 ぶるぶる震えながら、野生のゆっくりたちを追い払う一家。 「あんなのとはゆっくりできないよ!」「あいつらゆっくりしねばいいのにね!!」 などと勝手なことを言い残して去っていく野性のゆっくり。 「ここはまりさたちのゆっくりしないプレイスだよ!!いそいでいってね!!」 「あなたはゆっくりできるひと?だったらでていってね!!ゆっくりしないならここにいてもいいよ!!」 「いそいでいこうね!!ゆっくりしたらぜったいにだめだよ!!」 もはやゆっくりしたものを目にすると安心できない。ゆっくりしたものを聞くと不安感に苛まれる。 この一家は、病的なまでに“ゆっくり”を嫌い、恐れている。 これが、僕の努力の成果。 一ヶ月間強制的にゆっくりさせられたゆっくり一家は、もう二度とゆっくりしようとしないだろう。 「ゆっくりしたくない!!」 ゆっくりに有るまじき発言。 僕はそれを聞いて、性的絶頂に近い何かを感じた。 (終) あとがき あまり深く考えてないです。ただありすをすっきりできなくさせてやりたかったから… 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
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ある昼下がり 幻想郷の深い森の奥にある、木々の開けた小さな草原 その草原にゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が二匹で寄り添っている ゆっくり霊夢の下腹部は大きく膨れあがっており、出産間近であることが伺える 「ゆ~♪ ゆ~♪」 ゆっくりと体を左右に揺らしながらゆっくり霊夢は歌を歌う 「ゆ~ゆ~♪」 「すごいおじょうず!れいむはおうたのてんさいだね!」 隣の魔理沙はその歌に大喜びである 「おうたがじょうずなれいむは、きっといいおかあさんになるね!」 魔理沙のほめ言葉に思わず照れながら微笑むゆっくり霊夢 なんとも仲睦まじいやりとりである そのまま夕暮れまでゆっくりすると、やがて二匹は巣へと戻っていった 「ゆ゙ぎぎ…!!」 その晩のこと、ゆっくり霊夢の陣痛がはじまった 「い、いたいよ…!ゆっくりできないよ…!!」 涙で顔を皺くちゃにして痛みを訴える霊夢 「ゆっ! れ、れいむ!ゆっくりしていってねっ!」 その声にゆっくり魔理沙はおろおろとする しかしゆっくり魔理沙には声をかけてあげることしかできない ゆっくり霊夢が陣痛を訴えてしばらくすると… プシッ 巣に小さな水音が響いた するとゆっくり霊夢の底部にある小さな穴、いわゆる産道からぬらぬらした透明な粘液が水溜り状に広がっていく 破水である 出産が開始されるのだ ゆっくり霊夢は体を後ろに傾けて壁にもたれかかると、荒い呼吸で出産を開始した 「ゆぎっ! ゆぎっ!」 顔を真っ赤にしながら必死にいきむゆっくり霊夢、その顔は汗で湿っており額中にびっしりと血管が浮き出ている その姿からは痛みの凄惨さが見て取れる 「いぎぎ…!ま、まりさぁ…!!」 「れいむ!がんばってね!げんきなあかちゃんをうんでね!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の傍で懸命に声援をかけつづける しばらくするとゆっくり霊夢の産道周辺がヒクヒクと痙攣しはじめる その痙攣にあわせて、普段は目に見えないゆっくりの膣孔が見えるようになる 膣孔からは、ゆっくり霊夢の呼吸にあわせて粘液が漏れ出している ゆっくり霊夢の膣孔が菊紋を描くのを確認すると、ゆっくり魔理沙はその小さな穴を舐めはじめる 舌で刺激することによって、出産を促すのである 溢れる粘液を舐め取るように、中の粘液を吸いだすように、ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の底部に舌を這わす 「ひぃ゙~ッ!!ひぃ゙~ッ!!」 「がんばってね!がんばってね!」 痛みのあまり泣きながらいきむゆっくり霊夢 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の為に懸命に底部を舐め続けた やがてゆっくり霊夢の下腹部の膨らみは産道のほうに偏りはじめる 胎児が移動しているのだ それにつれ産道周辺がこんもりと膨らみはじめる 「んぃ゙ぎッ!!んぃ゙ぎッ!!」 髪を振り乱しながらさらに強くいきむゆっくり霊夢 するとぴったりと閉じていた産道がミチミチと音を立てて開いていく 「ん゙お゙お゙っ!!」 開いた産道の奥にはゆっくりの赤ちゃんの顔が見える 「れいむ!もうすこしだよぉぉ!!あかぢゃんもはやぐでてきでねぇぇっ!!」 応援しているゆっくり魔理沙の顔ももう涙でぐしゃぐしゃである 「あ゙がちゃッ…!!あ゙がちゃッ…!!」 満身創痍のゆっくり霊夢 ゆっくり霊夢は白目寸前の目つきで口を大きく開け、荒く呼吸しながらうわ言のように赤ちゃんの名を叫ぶ …と、すぐゆっくり霊夢の動きが止まった 凄まじい形相のまま固まったと思うと、プルプルと体を震わせはじめる すると ズポッ と赤ちゃんが飛び出してきた 地面にぶつかってコロコロと転がると、 「ゆっきゅりしていっちぇねぇ!」 力強い声でそう言った 「……れ゙」 「れ゙、れ゙いむ゙ゔゔ!あがぢゃんゔまれたよおおっ!!よぐがんばっだねええっ!!」 「ゆ゙っぐりじでいっでね゙ぇぇぇっ!!」 「びぇぇぇぇぇっ!!」 これ以上の無い歓喜である 二匹は号泣しながら新たな命の誕生を喜んだ 生まれたのはゆっくり霊夢の赤ちゃん まだ母親の体液で体がぬらぬらと光っているが、その姿はとても可愛らしく健康的である 好奇心旺盛に巣の周りをキョロキョロと見渡し、両親の姿を見つけると 「みゃみゃ、ぴゃぴゃ、ゆっくちちようね!」 と言って満面の笑みを浮かべてその場でピョンと飛び跳ねた ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は赤ちゃんに寄り添ってほお擦りをする 赤ちゃんはそれをくすぐったそうにしながらも受け入れた だいすきなお父さんとお母さん、おいしいご飯に静かな森での幸せな生活… その目はきらきらと輝き、将来の希望に満ち溢れていた ──バキバキッ 「ゆ?」 「なんのおと?」 その時突然巣の中に大きな音が響いた ゆっくり一家は喜びの抱擁を中断し、部屋の周りを見回す すると… ──バキッ! ひときわ大きな音を立てたと思うと入り口の扉を突き破って何かが巣の中に飛び込んできた 人間の腕である ゆっくりの巣を見つけた人間が、ゆっくりを捕獲しようと巣の中に手を伸ばしてきたのだ 「ゆ゙!?ゆ゙ゔゔ!!?」 「な゙に゙ごれ゙ぇえッ!!?」 巣の中に突きこまれた腕はゆっくりを求めて巣の中を激しく動く 勿論突然の侵入者に動揺したゆっくり一家は、それが何なのか理解することができない 「み゙ゃみ゙ゃぁああああっ!!」 生まれたての赤ちゃん霊夢は突然の衝撃とあまりの恐怖に泣き叫びながら盛大に失禁する 幸い穴が深かったため寸手のところで人間の手がゆっくり一家に届くことは無かった それでも一杯に差し込まれた腕はゆっくりを探してバタバタと激しく動く ゆっくり一家は壁際に固まって、その腕から必死に遠ざかる ゆっくり霊夢もゆっくり魔理沙も何が起こっているのか理解できない ただ、我等の巣が何かに強襲されているということだけは理解できた 「ごわ゙い゙よ゙お゙お゙お゙っ!!!」 「あ、あかちゃんはかくれてねっ!」 「れいむもあかちゃんもまりさがまもるよ!」 ゆっくり魔理沙は家族を庇う様に前に出て、辺りの餌やら石やらをその腕に吹きつけはじめた 「びゃああッ!!ごわいよお!!ごわいよおおっ!!」 ゆっくり赤ちゃんは恐怖した ひたすら恐怖し続けた まともな思考など働く余地が無いほど震え上がり叫んだ 危機から身を守らねば 隠れるところを探さねば そうして赤ちゃん霊夢は隠れる場所を求め 先ほどまで自分が居た母親霊夢の産道にもぐりこんだ 「ゆ゙ゆ゙っ!?あかちゃん!なにしてるのっ!?」 今まで自分がずっと居た場所、一番信頼できる安全な場所 赤ちゃん霊夢が選んだのは母親の胎内だった 「ゆぐぐ!くるしいよ…!」 出産の影響もあり、ゆっくり霊夢の膣孔の皮は伸びきっていた為そこにもぐりこむのは難しく無かった それから間も無く、ゆっくり魔理沙の善戦あってか腕の主は捕獲を諦めて巣から去っていった しかし問題はそれで済まなかった 恐怖のあまり、赤ちゃん霊夢はゆっくり霊夢の産道にもぐりこんで出てこないのである 苦しむ母霊夢などお構いなしに、赤ちゃん霊夢は恐怖でガチガチと歯を鳴らしながら奥へ、さらに奥へと進んでいく 「ん゙ぃ゙ぃ゙!ん゙ぃ゙ぃ゙!」 「あかちゃん!もうだいじょうぶだからはやくでてきてね!」 ギリギリと歯軋りをしながら苦しさと痛みに耐えるゆっくり霊夢 ゆっくり魔理沙も必死に呼びかける 再び体積が増えた苦しさに、必死にひり出そうとしても赤ちゃん霊夢は抵抗して出てこない 再び赤ちゃんを包んだ膣孔は再度ぴったりとその口を閉じてしまっており その穴からはただただぬらぬらと透明な粘液を垂らすばかりである 「赤ちゃんでてきてぇーっ!!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の膣孔に口をつけて必死に吸い出そうとする 巣にはただただ淫猥に粘液の水溜りが広がっていくばかりであった 戻るゆっくり ~END~ 自分で書き込みした話をSSにしてみた 満足している。 このSSに感想を付ける
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出来た・・・。ゆっくりれいむはゆっくりしながら感慨に浸っていた。 ゆっくりのゆっくりによるゆっくりのための安住の地、ゆっくりハウス。 ゆっくりれいむそのままのゆっくりな外観、 ゆっくりできるのに十分、いやゆっくりにはかなり大きすぎるほどのゆとりあるスペース、 ゆっくりの安全を確保する強度のある壁。 ゆっくりがどうこしらえたのかはさておき、実に完成度の高いゆっくりした住居だ。 「これでゆっくりできるね!」 さっそくゆっくりまりさたちと落成記念ゆっくりと洒落込もう。そう思うとゆっくりれいむは今夜のためのご馳走を調達しに向かうのだった。 たっぷりごちそう(といっても果物程度)をもって帰り、ゆっくりハウスにもどってきたれいむ。しかし戸を開けると、思わぬ先客がいた。ヒトだ。 「おう、ゆっくりさせてもらってんぞ」 「ゆ、ゆっくりしていってね!!」 「そうさせてもらってる、狭いな」 ・・・反射的に挨拶をしてしまったが、これは困った。どうも留守の間に勝手に上がりこんで来たらしい。ゆとりがあるとはいえゆっくり用の住居にヒトが入るとは・・・いや、感心している場合じゃない。 「こ、ここはれいむのおうちだよ!!おじさんはゆっくりできるひと?」 「おーそうかそうか。俺はゆっくりできる人だ。見ての通り、今ゆっくりしてるだろ?」 確かにムカつくぐらいにゆっくりとゴロゴロしてくれている。が、れいむにとってはちっともゆっくりではない。 「いやー住むところがなくてなぁ、今日の寝床はどこにすんのか物色してたらこれだろ?つい入っちゃってなーはっはっは」 勝手に上がりこんでおいて今晩とまらせろとでも言うのだろうか。たまったものではない。落石記念どころか、こんなデカいヒトがギチギチに入っていては一人でも満足にゆっくりできやしない。少々気の毒だが、寝床は他に探してもらうことに・・・。 「お、なんだメシまであるじゃないか。ひとつもらうかな」 「ゆ?!おじさんこれはれいむn・・・」 「まぁまぁまぁまぁいただきまーす。あーん」 そういうとヒトはれいむのもっていたりんごを奪い取り、あっさり口に運ぼうとする。 「おじさんやめて!!それはれいむの!!おじさんのじゃないの!!」 「うっせーなちょっと黙ってろ」 そういうとヒトは片手でれいむの頭・・・もとい体を押さえつけ、もう片方の手でむしゃむしゃとりんごを頬張る。くやしい。しかし、かなわない。 「ゅー!!ゆー!!おじさんひどい!!」 「んー、まぁまぁかな。まだあるみたいだからもらっとくぜ」 「ゆっくりやめてよね!!」 「そうかーゆっくりかー。じゃぁ全部食う頃まで時間をかけて、ゆっくりやめてやるよ。なーんてなハハハ」 れいむはつぶれるかつぶれないかギリギリの圧力に押さえつけられながら、持ってきたご馳走を全部平らげてしまった。 「あー食った食った。ちょっと横になるかぁ」 そういうとヒトはずうずうしく横になる。そのとき。 クシャッ。 ヒトの足元で音がした。 「ん?なんか踏んだか?」 「ゆっ!?」 ゆっくりれいむの大切にしていた、お母さんのリボンが踏んづけられていた。 「なんだゴミか」 「ゆー!!ゴミじゃないよ!!おかあさんのリボンだよ!!」 「へー、そいつぁわるいことしたなーごめんなさーいっと」 もう我慢ならない。勝手に居座られて、ご馳走は食われて、宝物は汚れてしまった。有無を言わさず出て行ってもらうしかない。 「おじさんとはゆっくりできないよ!さっさとでていってね!!」 「んー、ここ悪くないな。決めた。ここ俺の家な。お前でてけ」 「ゆっ?!」 ・・・な、何言ってんだこいつ。 「ここはれいむのいえなの!おじさんのいえじゃないよ!」 「今俺の家になったんだよ。ゆっくりのくせに、自分らの常套句も分からないのか?いつもいってるだろ、勝手に上がりこんでおいて「ここはゆっくりのいえだよ!!」宣言。だから俺もやるの」 「だ、だってゆっくりはゆっくりだもん!おじさんゆっくりじゃないもん!」 「理由になってねーよバーカ。やっぱしょせん餡子ブレインだなこの糞饅頭が」 ここまでコケにされては、もうだまってはいられない。話し合いで決着がつかないなら、力でねじ伏せるまで。ゆっくりれいむは渾身の力をこめて体当たりをした。 「・・・んー、いいマッサージだー。おいおいゆっくり、そんなんじゃおじさんは痛くも痒くもないなー?」 やはりヒトとゆっくりの差は歴然だった。ダメージは皆無だ。そして。 「ゆっくり、よく覚えとけよ。攻撃って言うのはな、」 ヒトが拳を固めると、 「こうやるんだよ」 ゆっくりれいむに向けて、勢いよく振り下ろした。 「・・・ゅー・・・ゅー・・・」 ゆっくりな外観のゆっくりハウスの玄関、体半分がひしゃげロボトミー化したゆっくりれいむが呻いている。なかではヒトが我が物顔で、新しい寝床に満足しながら眠りこけていた。 「自分の家宣言」を逆にしてみた
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「ゆっくりメダル」 [参考:ゆっくり虐待スレ3 341] ゲームセンターによくある、メダルをタイミングよく投入すると迫り出す板によって端のメダルが 押し出されて落ちるやつ。ありますよね。 あれをゆっくり達でやってみようと思います。 メダルと違って、ゆっくりを投入するタイミングはあまり問題になりません。 適当なタイミングで投入すると、投入されたゆっくりは板の上を埋め尽くすゆっくりたちの上に転 がり落ちる。そして、板が移動して隙間ができたところで、自ら転がってその隙間に落ちていきます。 つまり、メダルだとタイミングよく投入しないと隙間にメダルを落とせないのに、ゆっくりの場合 は勝手に移動してくれるわけですね。 「ゆっくりー!れいむもここでゆっくりするよ!!」 さて、もともとスペースにゆとりがなかったところに、一匹ゆっくりが増えたわけですから… 次に板が迫り出したとき、最低一匹のゆっくりが落ちることになります。 「落ちたくないよ!!ゆっくりできないよ!!」 「れいむは落ちないよ!!まりさが落ちればいいよ!!」 「ゆっくり落ちていってね!!」 端のゆっくりたちが押し合います。どうやら落ちたくないようです。 当然のことです。落ちてしまったら、もう“ゆっくりできない”のですから。 落ちた先で待ち受けるのは、ふたが開いた透明な箱。 大きさは、ちょうどゆっくり一匹分… みんな、そこに落ちたらどうなるか知っているのです。 周囲は電流が流れる鉄板で囲まれているので、逃げ場はありません。 板が迫り出して、どんどんスペースが狭くなっていきます。 それに従って、ゆっくりたちの争いも激化します。 「ゆっくりしたいよ!ここでゆっくりざぜでえ゛え゛!!!」 「ここでゆっくりするのはまりさだよ!!れいむはゆっくり落ちていってね!!」 そんな醜い争いの中、ゆっくりれいむとゆっくりまりさの2匹が落とされました。 急な斜面を、2匹は必死に登ろうとします。 お互いを蹴落としながら、生まれながらの粘着力で何とか上に戻ろうと… でもぎりぎり登れない角度に設計されているので、結局2匹は箱の中に落ちていきます。 箱の大きさは、さっきも説明したとおり一匹分です。 しかし、2匹は無理やり箱に押し込められ、ふたが閉じられてしまいました。 「ぐるじい゛い゛い゛い゛い゛!!ごごがらだじでえ゛え゛え゛!!」 「ゆっぐりざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 箱の中でも居場所をめぐって押し合う2匹。この期に及んでまだゆっくりしたいようです。 通常の半分に圧縮されたゆっくり2匹は、ベルトコンベアで運ばれていきます。 そしてほかのゆっくりたちによく見える位置に移動すると… 「びゃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!やめ゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「どおじてぞんなごどずるの゛お゛お゛お゛!!??」 「しんじゃう!!しんじゃうよぼお゛あ゛お゛お゛お゛!!!」 箱の容積はどんどん小さくなり、中のゆっくりが押しつぶされていきます。 「れいむがゆっくりできないよ!!ゆっくりたすけてあげてね!!」 「ま゛り゛さ゛あ゛あ゛あ゛!!ゆ゛っくり゛してよお゛お゛お゛お゛!!!」 「お゛にいさん!!ゆ゛っくり゛してない゛でたすけてあげてえ゛え゛え゛!!」 見ているゆっくりたちがわめきます。 さっきまで醜い争いを繰り広げていたゆっくりたち。 あの2匹が落ちた原因が自分達であることも忘れて、2匹を助けるよう懇願します。 箱の圧力が高くなっていくと、ゆっくりの皮が破れて中の餡子が丸見えになってしまいます。 行き場の無くなった餡子は、下の穴から漏れ出していき… 「あ………ばっ……ゆ゛っ……っぐり…!」 「ゆ゛っ……ゆ゛ゆ゛っ……ゆ゛ーーーーあぼろっれべげばへおばおあえrkごえ!!!」 目から口から裂け目から、至るとこから餡子を出して、苦しみと絶望の中でゆっくりは息絶えます。 それを見ていたほかのゆっくりたちも、次は自分がこうなるかもしれないという恐怖の中、 ゆっくりできる場所を求めて争い続けるのです。 あ、ちなみに2匹のゆっくりを落としたので、2匹の別のゆっくりが排出口から戻ってきます。 この2匹には、ガラスの向こうにいるたくさんのゆっくりがどんな目にあっているのか、わかっていないようです。 「ゆっくりしていってね!!みんなもゆっくりしていってね!!」 「みんな楽しそう!!れいむもあそこでゆっくりさせてね!!」 プレイに飽きたら、持ち帰って虐待するもよし、食すもよし、加工場に売るもよし。 楽しみ方は無限大!! 「ゆっくりメダル」でたくさんゆっくりしていってね!!